北海道大学法学部同窓会
HOKKAIDO UNIVERSITY SCHOOL OF LAW ALUMNI ASSOCIATION
会長あいさつ
会長より/向井 諭(卒業学部等:法学部/卒業年:昭和50年)
御挨拶が遅れましたが、一昨年10月の総会で法学部同窓会の会長に選出されました。私は昭和44年に入学し、四六年に法学部に学部移行し、50年3月に卒業しましたので、相馬前会長よりかなりの若輩者ですが、よろしくお願い申し上げます。
北大は札幌農学校以来の伝統を受け継ぎ、戦前は七帝大の一つとして、また戦後は新制大学の雄として、世界に有為な人材を送り出すとともに、新天地北海道開拓の中心的役割を担ってきた名門大学であり、その中で法学部は戦後の昭和22年に法文学部として創設されたことを基礎としておりますが、他学部と同様、戦後日本の復興のため、またその後の高度経済成長期から現在に至るまで、一万人を超える多くの卒業生を輩出し、官界、経済界、法曹界をはじめとし、社会に大きく貢献して参りました。
このように伝統のある北大法学部の同窓会会長に就任し、その職責の重さをあらためて感じているところでございます。
ところで、私にとって北大は結構身近な存在としてありました。私は札幌は薄野の生まれで、薄野の街中で育ちましたから、小学校の遠足で北大に行き、中央ローンの辺りで弁当を食べ、野球をし、天気の良い日曜の朝などに自転車で街を北へ走っていると、いつの間にか北大に着いてしまうこともありました。人気のない朝の北大構内を自転車で走ると、とても気持ちが良かったことを思い出します。当時はポプラ並木に観光客もいませんでしたし、広い構内には緑の中に建物が点在していて、まさに牧歌的な場所でした。勉強の嫌いな薄野の小学生が、将来、大学生になるとは想像できませんでしたし、北大で学ぶことになるとは思ってもいませんでした。ただ、高校に入ると、何となく次は北大に行くことになるのかなと思いましたから、かなり身近にあった学校だったのでしょう。ともあれ、このように素晴らしい大学が私の身近にあり、そこで学べたことは、私にとって大変幸せなことでした。
さて、北大では一昨年、第1回のホームカミングデーを開催致しました。これは、卒業生に北大に来てもらい、親睦を深めることによって同窓生が互いに連携し、連帯を強化することを目的とするものですが、このことによって、皆様の職業、研究あるいは広く生活の充実、発展の契機となる事は多いと思います。
私達は大学を卒業して実社会に出てしまいますと、特に運動部等で先輩後輩の繋がりがなければ、実社会での人間関係の中に入ってしまいますので、大学との繋がりが希薄になってしまいます。このことは寂しいことですが、実は大変惜しいことでもあります。もし同窓生間の交流が密になれば、仕事の上でも研究の上でも生活の上でも、ちょっとしたことを尋ねることができ、また一緒に活動して成果を上げることができることは結構あると思います。実はこのホームカミングデーという行事は、卒業生の援助を必要とした私学ではかなり前から行われていたもので、50回以上行っている大学も多いとのことです。ところが、国費、公費により運営されてきた国公立大学では行われておらず、最近になって独立行政法人化したことにより、これを始める国公立大学も出て来たとのことです。企業などでは、何となく私学出身者の連帯感を感じますが、その理由はこんなところにもあったのかもしれません。
我が国は資源に恵まれておりませんから、技術立国を目指さなければなりません。そのためには知識の集積、交流が是非とも必要です。それは理工系、医歯系の卒業生間の話ではなく、我々文系の卒業生にも言えることで、むしろ理工系、医歯系と文系が交流することによって発展させることができるものです。
前に述べました通り、北大は長い伝統を持ち、ノーベル賞受賞者をはじめ多くの優秀な卒業生を輩出しています。北大の卒業生達が、ホームカミングデーに北大に集うことにより、多くの交流が生まれ、そこから多くの業績が生まれることでしょう。特に北大には、内地から(私のような古い北海道民は、本州以南のことを「内地」と呼びます)多くの入学者が来ます。北大の研究環境に魅力を感じるのか、北の大地に憧れるのか、単に札幌の街が好きなのか、色々な理由はあるのでしょうが、北大には若者を惹きつける何かがあるのでしょう。ですから、その若き日を過ごした北大に、機会があればまた訪れたいと思っている卒業生は沢山いるはずです。この北大で行われるホームカミングデーは、本当に今後も発展させなければなりませんし、我々はそれを支えなければならないと思います。
昨年は第2回のホームカミングデーが行われ、法学部では、私の恩師の一人でいらっしゃる五十嵐清先生の講演も行われました。声の調子も話し方も40年前と変わりません。私も40年前のひと時に身を委ねることができました。学生時代にもっと勉強しておけば良かったと思うのは、卒業生のほぼ全員に共通する思いでしょう。その時に必ず思い起こすのは、講義あるいはゼミの情景ではないでしょうか(内容は殆ど思い出せません)。その情景の中に浸れるのが、ホームカミングデーです。そうして、その夜に開かれる懇親会では、アルコールも加わり、先輩後輩の分け隔てなく、さらに親睦と交流を深め、今後の人生、あるいはより大きく全世界の未来のために資する何かを得ることができると思います。今年も第3回のホームカミングデーが9月27日に開かれ、法学部でも卒業生の皆様に楽しんで頂ける行事を企画しております。これが今後の法学部の更なる発展の機会となるよう、今後とも皆様の御支援と御協力をお願い申し上げます。