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History of European Integration

史料館案内Archives

ポルトガル外交史料・図書館の紹介(西脇靖洋・山口県立大学)

ポルトガル外交史料・図書館(Arquivo e Biblioteca Diplomáticos)(外部サイトへ)
住所:Largo das Necessidades,
   C/P1350-215 Lisboa, Portugal

1.概要

1736年、他の欧州諸国に倣い、ポルトガルにおいても外交文書を保管し、閲覧するための専門史料館が設置された。1965年、館内の一部史料の外部公開が開始された。現在、外交官養成所である「外交院(Instituto Diplomático)」が同施設を管轄している。ポルトガル外務省の敷地内(Palácio das Necessidades)にあり、図書館と統合されている。

外務省のみならず、旧海外領省の史料の一部を所蔵していることもあり、ブラジルやアンゴラ等、(旧)ポルトガル領植民地(諸国)との関係に関する文書を多数見つけることができる。また、伝統的同盟国であったイギリスとの関係に関する史料も比較的豊富である。一部史料は一般公開されていないが、申請書を提出すれば閲覧が許可される場合もある。


(【写真1】史料館が設置されているポルトガル外務省)

2.史料館までの道のり

リスボン周縁部のアルカンタラに位置している。ポルトガル鉄道の「Alcântara-Terra」駅から徒歩10分程度、   「Alcantara-Mar」駅から徒歩15分程度で到着する。

同施設の利用にあたっては事前申請を要さず、ポルトガル国籍を持つ者以外の利用も制限されていない。外務省の正門とは別の門から入ることができる。入館前にパスポート等、身分証明証の提示を求められる。入館後は担当職員の指示に従いながら調査を進めることができる。職員は基本的に英語に堪能であるが、当然のことながら文書の大部分はポルトガル語で記されており、手書きの文書も存在することから、高度なポルトガル語の読解能力が要求される。


(【写真2】史料館の玄関前)

3.ヨーロッパ統合史関係の史料

ポルトガル外交史料・図書館における外交史料は、基本的に外務省の部局別、または国・地域別に分類されている。したがって欧州統合関連の史料については、例えば「経済総局(Direção Geral dos Negócios Económicos)」や、「フランス(França)」、「イギリス(Grã-Bretanha)」といった関連諸国に関するファイル内から比較的容易に見つけることが可能である。

ただし、ポルトガルは1930年代前半から1970年代中盤にかけてアントニオ・デ・オリヴェイラ・サラザール(António de Oliveira Salazar)首相、マルセロ・カエタノ(Marcelo Caetano)首相による独裁体制下にあり、外交問題に関しても両首相がしばしばイニシアティブを発揮していた。ゆえに独裁体制期の欧州統合関係の外交史料については、同史料館のみならず、首相関連の史料が多数所蔵されているポルトガル国立公文書資料館(Arquivo Nacional Torre do Tombo)等でも調査を実施することが望ましい。


(西脇靖洋・山口県立大学)

基盤研究(A)「リージョナル・コモンズの研究―地域秩序形成の東アジア=ヨーロッパ比較―」
(研究代表者:遠藤乾)