NゼミのA君は、「丸刈り校則裁判」(教育判例百選3版別冊ジュリスト118号30頁)についてゼミで発表することになりました。発表のために判決文や解説を探そうと、まず法令判例新刊雑誌室へ行ってみました。 |
A君は今わかっている情報と、これから探したい情報を次のようにまとめました。
*わかっている情報
百選の該当頁にのってある判決の裁判所名、判決年月日、事件番号、事件名、判決文の出典名。
*探したい情報
1)判決文そのもの
2)判例についての解説(判例解説、評釈、批評...呼び方はいろいろ)
3)関連情報(類似の判決、関連する論文など)
では実際に探してみると...。
1)判決文そのもの:百選にでていた出典の雑誌にあたると判決文が載っていました。出典は略称でしたが、百選の巻末に略語例があったので、すぐわかりました。(例:判時→判例時報)。
2)判例の解説:百選の解説者(この場合中村睦男先生)の他にもこの判例に関する解説があれば読むことにします。中村先生の解説の文末にも参考文献は載っていますが、百選発行後に書かれた解説があるかもしれません。百選の情報から裁判所名と判決年月日がわかるので、ゼミのガイダンスの時に聞いた判例カードを使うことにしました。使ってみてびっくり。判決文&解説の有無が簡単にわかり、しかも最新の情報まで網羅されています。聞けばこれは北大のオリジナルだそうで、ちょっとラッキーな気分になったA君なのでした。
3)関連情報:余裕のでてきたA君は、更にひろげて似たような判決があるか、また判例解説に限らずに同じテーマの論文があるかどうか調べてみようと思いました。しかしどうすればいいのかわからないので、資料室にいた係の人に尋ねると、CD-ROMを勧められました。
「あるテーマについての判決、論文を調べたいというときには、法律判例文献情報CD-ROMが便利ですよ。『校則』『丸刈り』といったキーワードから類似の判例や、文献を探すことができます。キーワード以外にも著者名、法条などからも調べられるので、いろいろな角度から検索してみてくださいね。」
A君はあっという間にかなりの資料を見つけることができて大満足です。資料を探す時間が節約できたぶん、発表の内容をしっかり練ることができそうです。ゼミの発表にすこし自信がでてきたかも!?
**おまけ:CD-ROMで全部できるんじゃないの?***
法律判例文献情報CD-ROMは文献や判例を調べる時にはとっても便利です。判例カードと同じように判決年月日や裁判所から判決、判例解説を調べることもできます。とすると判例カードを使う必要はないのでは..いやいや、そんなことはありません。CD-ROMは更新頻度が年一回なので、最近1-2年の情報は入っていないのです。また1981年以前の古い情報も入っていません。判例カードは、職員が毎日届く新しい雑誌をチェックしてせっせと書き込んでいます。つまり最新の情報をおさえるためには判例カードを使う必要があるということなのです。このように、検索資料はこれ一つで何でもできるといった資料はありません。それぞれの足りないところを補うように、いろんな資料を使いこなせるようになるといいですね。