法律を探す 使うもの:六法、現行日本法規
 
六法をどんなに探しても、目的の法律を見つけられなかったことはありませんか?

雪もすっかり溶けた暖かい4月のある日、北大構内でのとある会話です。
 

先輩 やあ、北大法学部に入学だって?また僕の後輩だね
 C  はい、弁護士になりたいんで、1年からまじめに勉強します。早速六法買ってきたんですよ
先輩 気合いはいってるね。六法のひき方はわかる?
 C  わかるって...六法があればすぐにひけるんじゃないですか?
先輩 じゃ試しに盗聴法探せるかい?

  C君は鞄の中から六法をとりだして探してみました。法令名索引で盗聴法を探すと...ない。あ、盗聴法はマスコミがつけたあだ名で、通信傍受法っていうんだっけ...あれ、通信傍受法もない。どういうこと?

先輩  盗聴法も通信傍受法も実は通称なんだ。正式名は『犯罪捜査のための通信傍受に関する法律』といって名前が長いから、マスコミは『盗聴法』『通信傍受法』と略称でいうのさ。ところが六法の法令名索引では正式名でひくから『犯罪捜査の...』つまり50音の「は」の箇所で探さないと見つからないってわけ。

 C   へー、あ、ほんとだ。でてるでてる。でもどうやって正式名を調べるんですか。
先輩  新聞、雑誌では「通称(正式名)」って感じで最初に正式名を紹介してることがおおいから、手持ちの資料を確認するとわかることがほとんどだね。何にも資料がないときは六法の法令略語表や事項索引で関係ありそうな語を調べて正式名がわかるときもあるけど、絶対わかるとは言い切れないなあ。

    先輩、結構勉強してますね
先輩  いやー、それほどでもないよ。(調子に乗ってきた)もしかして六法に日本の法律全部が載ってるって思ってない?
 C   違うんですか。
先輩  本屋に行ったらいろんな大きさの六法があったでしょ。厚い分だけたくさんの法律が載ってるんだよ。今日本で効力のある法律全部収録すると六法とかの1、2冊の本じゃ収まらなくて、法令判例新刊雑誌室にある『現行日本法規』全97巻というような資料になるんだ。だから普段は小さい六法を使って、その六法にのってなかったら、法令判例室で厚い六法全書や、その『現行日本法規』をみればいいのさ。

   探し方はどの六法でも同じなんですか
先輩 正式名をおさえておけば、どんな法令集でも探せるさ。現行日本法規にも法律名の50音索引があるから、すぐわかるよ。

                                     注)六法によっては略称、通称も法令名索引に載せている場合があります
 
 

***おまけ:それでも僕の六法に載っていないのは何故?***
 いわゆる通信傍受法が載っていない六法をお持ちの皆さん、お手持ちの六法は平成12年版ですか?通信傍受法は平成11年に成立した法律なので、古い六法には載っていません。
六法などでは、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(平11.1.18法律137号)と法令名の後に公布年月日と法令番号が小さく載っています。この3つをおさえておけば、法律が改正・廃止されていたとしても、法令全書(図書館にあります)などを使って調べることができます。ですから法律を調べるときには法令名だけでなく、公布年月日と法令番号まで確認しておくといいですね。