*田岡氏は東アジア地域の軍事情勢と取材から帰ったばかりのコソボを巡るユーゴ問題の2つについて講演をなされた。しかしながらここでは、紙面の制約上前者についてのみ要約したものを掲載します。
内容
国際政治上の力はMilitary, Money, Mediaという3つのMである。安全保障を考えるには地理、歴史、軍事技術、経済、法律等々の総合的な知識が必要であり、軍事問題に関心を払わない国際政治学は妥当性を持たない。
東アジアの現状
ロシア:
通常戦力は予算、人員、装備、練度の面において急激な自壊現象を起こしている。前国防大臣は「ロシア軍は2003年までに防衛能力を失うだろう」とも述べている。ロシアは今や米国の「子分」「別動隊」ともいえる存在であり、むしろ米国にとっては日本が警戒すべき対象になっていると認識すべきである。
中国:
全国的徴税システムの機能不備、軍の企業化、第3世界への兵器輸出の減少、膨大な数の更新を迫られている旧式航空機、艦艇の存在といった問題を抱えている。数的には急減し、また近代化のペースは遅く、通常戦力は軍事的脅威としては考えにくい。むしろ国内の分裂の可能性のほうが不安定要因である。
台湾:
経済力を背景に特に空軍力と海軍力の近代化を進めている。制海空権を持たない中国が台湾に侵攻することは、ますます困難である。しかし中国の弾道ミサイルは心理的・経済的な影響をあたえうる。また特に独立問題に関しては、軍の将校には外省人が多く独立反対であるという問題が存在する。
南北朝鮮:
南北朝鮮の間には米国とメキシコ間の経済格差と同じくらいの大きな開きが存在する。軍事的にも米韓軍が圧倒的に有利である。北朝鮮の崩壊そして南北朝鮮の統一は韓国と中国双方にとって政治的、経済的、民族的観点から望ましくない。また技術的な観点から見て、北朝鮮は核兵器を実用化することに成功していない。核さえなければ、誤差の極めて大きい「テポドン」ミサイルは、軍事的脅威ではない。
一方、現在米国は主要国を含め、56ヵ国の同盟国を持つにいたっている。「敵」は北朝鮮、イラン、イラクなどごく少数である。そして日欧も、その足元にもおよばぬ圧倒的な軍事技術の優位に支えられ、少なくとも21世紀前半まで米国の一極支配的な軍事的優位が続くだろう。のみならず、コソボ問題に見られたように、世界のイメージを決定することができる自国のメディアパワーによっても、その優位は維持されており、それは将来にわたっても維持されてゆくであろう。
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