「沖縄:知事選・米軍・安保」
中嶋一成氏(沖縄タイムス社会部・共同通信社記者)
 
[要約]
 98年11月15日の知事選で、なぜ現職・大田昌秀は負けたのか。それには前哨戦とも言われた7月の参議院選挙を見る必要がある。結果としては、現職で社会大衆党の島袋宗康が自民公認の西田健次郎を破った。この選挙で、自民党側はヤマト(県外)から大量の代議士を動員し、中央とのパイプを強調する利益誘導型選挙運動を強力に展開した。参議院選挙においては、自民党側のこの選挙戦術は露骨な脅しと受け止められ、県民感情の反発を招く結果となった。しかし、この脅しが今回知事選ではボディーブローのように効いて来た。県内の失業率が高まる中で経済の問題が深刻となり、一人の首長を選ぶ知事選で、大田ではまずいのではないかという雰囲気が1ヶ月前には出来てきた。そのような中で、大田側は守勢に立たされ、さらに、大田側の選挙運動の中心となる労組が様々な理由で動けなかったこともあり、新人・稲嶺恵一に敗れた。
 米軍・基地問題では、沖縄県民への世論調査では基地縮小・廃止で一致しており、自民党系の議員さえも一様に基地縮小を主張する。しかし実際には、米軍・基地の問題はそれほど単純ではない。まず、世代年代によって米軍やその基地の捉え方が違う。戦前の世代には、米軍は旧日本軍のイメージの延長であり侵略軍である。戦後の者には、戦争よりも統治者のイメージと結びついている。さらに復帰後の世代にとっては、魅力的な雇用の場と映る。次に、土地を持つ者と持たない者との差も大きい。軍用地代の入る軍用地は、実は非常に優良な資産であり、基地が返還されればその価値は下がるとさえ言われている。それゆえ、持つ者は基地の返還を手放しで喜ばない。一方で持たざる者は基地周辺に居住し日常的に騒音に苦しめられている。また、本島と基地のない離島との間や、さらに本島における地域においても、基地との距離の違いから意識の違いもうまれる。同じ県民でも各々の立場によって、本音のレベルではこの問題の捉え方が大きく違う。米軍・基地の問題は、沖縄県民にとっても複数の位相を孕んだ非常に複雑な問題となっている。

Q&A

Q:沖縄独自の世界戦略はあるか。

A:沖縄県は外務省・防衛庁を信用していないし、あてにもしていない。米軍の動きは、外務省・防衛庁より沖縄県の方が早く正確に把握出来るというのは、ある意味で真実だ。世界各国に現地県事務所をもち、独自外交戦略を持っていると言える。しかし、それは独立への志向とは異なる。日本への帰属意識は強い。

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