特殊講義 2004.前期 Hiromichi IMAI
 第十一回講義 6月30日

 先ず、これまでの講義を踏まえた頭の体操を二つ
 @次の上野千鶴子の文章を論評せよ。
「日本の若者たちが韓国を訪れ…戦時中に強制連行された男性や「慰安婦」にさせられた女性の経験を聞く、という催しがあった」。その会場で、「屈強な体格をした日本の若者が立ち上がり、とつぜん、「そんなことがあっただなんて知りませんでした。ゆるしてください」と号泣した…。おそらくは「純粋な善意から発したに違いないこの若者のナイーヴな反応をめぐる「感動的な挿話」は、国家と自分とをこれほどまでにかんたんに同一化するかれのナイーヴさにおいて、わたしに恐怖を抱かせる」(「記憶の政治学」、『インパクション』103号、171頁)。

 A卒業式に、あるグループの生徒達が頬や額に日の丸をえがいて出席した(無論、これは今井の夢想の中の出来事である)。この行為に、都教委と校長は、a)自分たちの主張の浸透ぶりに静かな感動をもって迎えた。b)何とも思わなかった。c)苦虫をかみつぶしたような不快な顔を示した。どれだと思うか。理由を付して述べよ。