憲法的探見記 富平神社編

探見日:2010年5月



春を待って、いわゆる富平神社訴訟判決(最高裁平成22年1月20日大法廷判決・平成19(行ツ)334)の現場に向かいました。

[1] 富平の交差点。写っている道路は道道(北海道ですから、県道ではなくて道道)で、画面の奥の方に進めば赤平市に通じます。空知太神社は砂川市の北西端、隣の滝川市の市街地に近いところにありました。富平地区は砂川市の北東端にあたり、赤平市に隣接しています。

信号機の右側の、木の茂っているところが富平神社です。画面右端にある「売地」の看板を覚えておいてください。

[2] 信号機のある交差点のところから富平神社をみると、このようになっています。



(3)本件神社の沿革及び本件譲与に至る経緯
ア 本件各土地は,もともとT地区に存在したT各部落会(本件町内会の前身)が実質的に所有する土地として地域住民に利用されていたが,形式的には地域住民らの個人名義で登記されていた。T地区の住民らは,明治27年,本件各土地上に五穀豊穣を祈願して大国主命を祭神とする小祠を建立した(当時はA神社と呼ばれていた。)。その後,大正7年から昭和43年までの間に,本件各土地上に本件神社施設が順次設置されて現在に至っている。
イ 市は,昭和10年,T各部落会から本件各土地上にT小学校の教員住宅を建設してほしいとの要望を受け,本件各土地の寄附及び所有権移転登記を受けて同住宅を建築した。
ウ T小学校の教員住宅は昭和50年に取り壊されることとなったため,市は,これに伴い,同51年4月,本件各土地の管理目的を児童公園等の部落共同目的の用に供することに限定して,その管理を無償でT各部落会に委託した。なお,当時,本件各土地上には本件神社施設のほか農協倉庫や青年会館が存在し、また,その一部は児童公園としても利用されていた。以後,本件各土地はT各部落会及びその後身である本件町内会が自主的に管理活用してきた(この間,上記の倉庫等及び公園は取り壊されるなどして現在は存在しない。)



(2) 本件神社物件の形状及び配置状況
北側から,鳥居(幅約4.5m),石灯籠一対及び社殿(床面積25.92平方メートル,木造亜鉛メッキ鋼板葺南京下見板張り平家建建物)が一直線上に配置され,石灯籠と社殿の間には,「地神宮」と彫られた石造の地神宮が,社殿手前には清心(手水所)が設置されている。社殿の正面入口の外壁上部には「T神社」との文字を刻した額が掲げられ,社殿正面奥に大国主命を祭神とする祠が設置されている(……)。

[3] 鳥居には、昭和43年9月に寄贈された旨の銘板がありました。「鳥居から社殿まで玉砂利が敷かれた参道が続いて」いるはずでしたが、探見時には、フキノトウが北海道の春を告げていました。

[4] 鳥居をくぐると、「石灯籠一対」。画面右端に写っているのが地神宮です。

[5] 石灯籠には、「奉納 赤平神社」「昭和二年四月建立」と記されています。

[6] 「木造亜鉛メッキ鋼板葺南京下見板張り平家建建物」である社殿。画面右下のほうに小さく写っているのが「清心」。

[7] これが「清心(手水所)」です(画像は一部加工してあります)

[8] 「社殿の正面入口の外壁上部には「T神社」との文字を刻した額が掲げられ」

[9] 社殿を裏側から見たところです。

[10] 「石灯籠と社殿の間には,「地神宮」と彫られた石造の地神宮が」

[11] 空知太神社のものと、よく似ているようです。

[12] 地神宮のところから、神社の横を通る道路に出てみると、こういう感じです。左の木立の中に社殿があります。道路の右側の電柱の脇に、四角い小屋のようなものがあります。その奥に、碑のようなものがあるのが分かるでしょうか?

[13] 近づいてみると、こういうものです。

[14] このあたりに、富平小学校があったようです。

[15] さて、[1]の画像に「売地」の看板が写っていたことを思い出してください。

[16] 売地は、富平小学校の跡地でした。

[17] 看板の後ろ側に写っている四角いコンクリートの小屋の向こう側に、[13] [14]の富平小学校跡地の記念碑があります。道路の向こう側に、富平神社の社殿が見えます。


ところで、地神宮のことです。

[18]「丘のまち」として有名な、美瑛町にある美沢神社です。

[19] 美沢神社から300メートルほど離れたところに、地神宮があります。道路の右側の木の下です。道路を画面の奥の方に進むと、左側に美沢神社があります。Yahoo! やGoogleの地図において「美瑛町美沢」で検索してみてください。位置関係が分かると思います。

[20] 空知太神社や富平神社に隣接してあったものと似ているように見えます。しかし、神社とは別の場所にあるのです。



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〈齊藤正彰@北海道大〉