Globalization & Governance
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司法院档案
 
一、 沿革

 民国建国後、司法部の設立があったが、北伐以前に到るまで、新政府が実施した多くの規制は依然として前清の法律を暫定的に採用したもので、法制は未だ未整備であり、各地の司法機関も多くは未設置であった。加えて政局の変動が多く、司法権は大いに行政権の影響により制限を受けて、独立自主の発展が困難であった。民国13年4月、国父の手による「建国大綱」が正式に発表され、大綱は全二十五条からなり、第一条に「国民政府は革命の三民主義・五権憲法に基づき中華民国を建設する」という趣旨を掲げた。民国17年北伐は成功し、国民政府は南京に首都を定めて、国父孫中山先生の遺教にしたがって、訓政を実施し五権政制を創設した。ここに司法院も設立され、民・刑法典もまた次々と発布され、司法の独立が漸く重視されることとなった。

 司法院は民国17年11月16日に正式に成立し、国民政府の最高司法機関として、民刑事裁判・司法行政・公務人員懲戒及び行政裁判を掌握した。司法院院長は最高法院院長及び所属各法廷廷長会議の議決を経て、統一法令解釈及び判例変更の権を行使した。司法院はその下に司法行政部・最高法院・行政法院及び公務人員懲戒委員会を管轄した。17年より現在に到るまで、司法院の職権及び組織には若干の調整がなされ、現在の司法院は民事・刑事・行政訴訟裁判及び公務員懲戒・憲法解釈・統一法律命令解釈を掌握する他に、政党違憲解散案件を審理する権責も負っている。現在司法院は院長・副院長各一名、大法官17名を設け、その下に各級法院・行政法院及び公務人員懲戒委員会を管轄している。元来の司法行政部、現在の法務部及びその関係業務は行政院の管轄となっている。

二、移転の過程と整理の方式

 国史館現蔵の司法院档案は、民国17年11月司法院成立後に、司法院院本部にて作られた档案文件である。38年政府が台湾に移り、この档案もまた司法院と共に台湾に移転された。86年11月、司法院は大陸から台湾に移送された旧档案及び台湾時期の既に時効となった档案を、国史館の所蔵に移行した。全部で文件档案3,528巻、宣詞及び証書12,434枚、錦旗6枚及び音声レコード3枚がある。期間は民国17年11月から68年5月までである。この档案は既に全て初歩的な整理が完了しており、棚に並べて所蔵してある。

三、档案内容

 档案内容はだいたい法令解釈案・各種法令或いは草案編録及び司法院院務案等の三種に別れる。以下その内容をそれぞれ説明する。

 一、法令解釈案:中国は民国17年以降、司法権の確立に伴い、民・刑法典が続々と公布され、新法典は外国の法律制度から多くを受け継いだものであったため、本国の伝統観念及び風俗民情と衝突することは避けがたく、加えて条文の量が膨大で内容も複雑であり、たとえ司法あるいは行政の人員でも理解するのに苦労を必要とした。この他に、民国26年に対日戦争が発生し、34年には抗戦に勝利し国土の回復を得たが、淪陥区・収復区・戦犯・漢奸等に対する処理は、新たな司法機構にとっては全て初めて直面する問題であった。新しい法律に対する正確な認識・理解及びこれを実際の中国社会の中で自由自在に運用するために、各地の司法機関或いは各級行政機関は、法律解釈に疑慮があったり、法律の執行が困難な所があれば、司法院に解釈或いは定義を請求することができた。
 前述のごとく、司法院院長は最高法院院長及び所属各法廷廷長会議の議決を経て、統一法令解釈及び判例変更の権を行使した。故に今日の司法院档案の中には各種の法令解釈案が残っている。各種民事法令の解釈に対しては、「湖南高院検処宗族公墓経営管理者は訴訟を提起できるか否かの疑義解釈請求」、「河南高院貞操寡婦養子等疑義解釈請求」、「司法行政部民事執行疑義解釈請求」等のようなものがある。各種刑事法令の解釈に対しては、「監察院陝西永寿県某殺人事件法律疑義十三項解釈請求」、「山東高院偽証罪疑議案解釈請求」等のようなものがある。行政法令の解釈に対しては、「安徽高院の所得税事件をどの機関で処理すべきかという疑義の解釈請求」、「財政部公務員服務法条文疑義解釈請求」のようなものがあり、戦時軍事法令の解釈に対しては、「行政院出征抗敵軍人家族優待条例疑義解釈請求」、「軍委会戦時軍律第十八条疑義解釈請求」のようなものがあり、収復区で施行された漢奸懲罰及びその他の関係条例に対しては、「江蘇省漢奸財産没収疑義案」、「軍委会調査統計局の敵の作戦により強制的に徴用或いは敵・傀儡機関に勤務したがその他の罪は無い台湾人を漢奸として拘禁できるか否かという疑義に関する解釈」、「国防部の台湾人民の以前の独立の陰謀行為が内乱罪を構成するか或いは戦犯に列してその裁判管轄となるか否かの疑義」等々のようなものがある。解釈請求を行なった機関には軍委会・行政院・中央各部会及び各級地方行政機関・各区綏靖公署・各軍司令部及び各地の軍・司法院及び検察処等が含まれる。この档案は数量が膨大であり、全司法院档案の約五分の三強を占める。

 二、各種法令或いは草案編録:立法院は民国17年以後、次々と各種法令を制定或いは修正し、それは国民政府によって訓令公布され、司法院及び所属各機関にも知らされ、故に司法院档案の中には各種の新修法令に関する文件が残っており、法令内容は軍政・財政・内政・礼制・交通・経済・衛生・農林・社会・教育・服制・糧食等が含まれ、「内政法令:地政――各地租界管轄」、「財政法令:税務通則」、「陸海空軍刑事法令」、「行政交通法令:電政――有線電報各?法」、「外交法令:各国条約」、「衛生法令:医薬――生育補助費事項」のようなものがある。この他に、各種の行政命令や機関組織条例及び地方自治法規があり、「国民大会組織及び法令」、「政治協商会議?法」、「档案処理?法」、「国史館に関する法令」のようなものがある。

 三、司法院院務案:本档案は数量は多くないが、内容は繁雑であり、多くは司法院院務に関する案巻であり、おおよそ以下の四種に分類できる。(一)業務報告或いは会議記録:司法院収録の各年度国家施政方針、司法院及び所属機関業務計画、業務報告、検討報告及び各種審査或いは調査意見書等が含まれ、「司法制度改善案審査報告」、「国民参政会第三期第三次大会憲政実施協進会業務報告書」、「司法行政部業務学術月報表」のようなものがある。(二)財計案:中央政府予算、司法院及び所属機関歳入歳出経費概算書、工程予算書、還都経費、各省司法人員補助俸給、支出伝票等が含まれ、「中華民国三十年度中央政府歳出予算」、「最高法院民国三十八年歳入経常部門概算書」、「戦時各地生活費指数簡報」、「還都予算案改編」のようなものがある。(三)人事案:年度考査、職務昇進異動、員工及び眷属人数調査表、各級待機人員名簿等が含まれ、「公懲会委員長任職日期」、「待機人員任職名簿」、「行政法院成立経過政治成績統計」のようなものがある。(四)その他:「中華民国中文版年鑑司法部分初稿」、「総統蒋公文告遺音選輯」、「国大代表宣詞」、「総統府公報」等のようなものがある。
 わが国は清末の沈家本、伍廷芳の法律修正以来、次第に西洋の法律を受け入れて、民国17年憲政体制と五権の分立、司法機関の独立運用の後、中国の法制は更に大規模に外国の法律を受け入れた。司法院档案は司法院成立後に残された档案文件であり、中国の法制の革新、伝統社会の新しい法律への適応過程に対して、非常に貴重な記録を残したのである。

 
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