C'ville日記
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2000年3月から、米国University of Virginia School of Lawにて在外研究に従事するために、Charlottesville (こちらの人はC'villeと略記します)に住むことになり、家族と一緒にやってきました。私にとっては、1989年〜1991年のUniversity of Michigan Law Schoolへの留学以来のアメリカ長期滞在となります。このページでは、研究面を中心にその様子を折に触れて書いていこうと思います。(ときには過去に遡って随時更新)ファイルが大きくなってきましたので、2000年3月〜9月分までをまとめて別ファイルにしました(12/15/00)。2000年10月以降の「C'ville日記」はココにあります。 ■お知らせ■
Last Updated: January 10, 2001
■30日(木) | いよいよアメリカに向けて出発です。ところが、福岡は出発したものの、関空からアメリカに向かうはずの飛行機が翌日まで出発延期になりました。理由:パイロットの急病!航空会社の負担でリーガロイヤル大阪に一泊。夕食は、同ホテル内の「つる家」で。少し贅沢をしました。 |
■31日(金) | 関空を無事出発。同じ日付の夜遅く、シャーロッツビルに到着しました。 |
■1日(土) | あらかじめ契約しておいたアパートにチェックイン。生活用品の買出しに。近所のスーパーマーケットには、醤油やお米だけでなく、インスタントラーメン、みりん、ポン酢までおいてあってびっくりしました。 |
■3日(月) | はじめて大学へ。研究室をもらえました。日本からは他に松永さん(裁判官)、勝田さん(早稲田大学)、佐藤さん(横浜国立大学)の3名が客員研究員としておいでです。 |
■5日(水) | Robert Scott教授とClayton Gillette教授によるセミナー"Colloquium
in Contracts and Commercial Law"に出席しました。主に学外の研究者を招待して、その研究者が執筆中の論文について検討するというセミナーです。セミナーは、Scott教授かClayton教授がその日のペーパーを要約したうえで議論をするという手順でおこなわれます。発言希望者は、司会者に合図して発言順序を予約していきますが、希望者全員に発言の順番が回りきらないという、学生たちも積極的なセミナーです。
この日は、Richard Craswell教授(Stanford)を呼んで"Do Trade Customs Exist?"というペーパーについて議論していました。それにしても、毎週、第一線の研究者を呼んでくるというのは贅沢なゼミです。これまでには、Jim White (Michigan), Ronald Mann (Michigan), Avery Katz (Columbia) などが来ていたようです。出席できなかったのが残念です。 |
■6日(木) | 同じ敷地にあるアパートで火災発生! 幸いけが人はいませんでしたが、6戸ほどが居住不能になりました。このアパートの住人の大半はビジネススクールとロースクールの学生ですが、それぞれのスクールが、焼け出された学生たちに住む場所や、焼けてしまったテキスト類の提供など、様々な便宜を図っているのが印象的でした。また、鎮火したあとで子どもを連れて様子を見に行ったところ、赤十字が来ていて、子どもにぬいぐるみをくれました。ただの野次馬なのに、申し訳ないです。なお、火事の原因は、たばこの火の不始末だということが後日発表されました。 |
■11日(火) | この日からStephen Walt教授の"Sales"(毎週火・水・木)とFrancesco
Parisi教授の"Comparative Law and Economics"(毎週火)に出席。
Walt教授には、Gilletteと共著で、"Sales Law: Domestic and International" という著書があります。授業は、ほとんどレクチャー形式です。驚いたのは、学生たちがラップトップ・パソコンでノートをとっているということです。そのまま打ち出せばアウトラインの出来上がりなので効率的です。教室の机には、電源用コンセントまでついています。日本では、漢字変換の問題があるので、これは無理でしょう。(なかには、ゲームに興じている学生もいました(^^;;) Parisi教授は、イタリア出身で、バークレイでLLM,PhDをとり、いまはGeorge Mason University School of Lawからのvisiting professorです。Cooter & Ulen, Law & Economics (3d ed, 1999)がテキストです。この日は、コースの定理とプロパティに関する授業でした。 |
■12日(水) | "Colloquium in Contracts and Commercial Law":今回は、Bankruptcyの存在理由についての検討;これは、次週の検討論文のための予行演習。 |
■13日(木) | Guido Calabresi 判事の講演がありました。Thomas
Jefferson Memorial Foundation Medal in Law の受賞記念講演で、"Liberty,
Equality, Fraternity"というタイトルでした。内容は、うーん、下記をご覧ください。UVA
School of Law のホームページからの引用です。
In addition to addressing first year students of property and engaging in numerous informal encounters with faculty and students, Judge Calabresi delivered a public lecture on "Liberte, egalite, fraternite." Calabresi's lecture explored a fundamental problem of constitutional law, how to prevent majoritarian legislatures from interfering with individual liberties in the name of communitarian values ("fraternite"). Calabresi provocatively set the stage for his exploration by imagining a situation in which the legislature requires citizens to contribute body parts to save lives at risk from a nuclear accident. A conventional "libertarian" response to such a demand might be simply that the legislature cannot thus encroach on the basic rights of citizens. But Calabresi noted that, on current constitutional doctrine, such a right might be insufficient to withstand the demands of community. He cited Justice Scalia's argument that the only reliable protection is the assurance, under equal protection of the laws, that ensures that those who make such demands on citizens are themselves equally burdened. However, this assurance assumes that equal treatment is more than a mere formality, as Calabresi illustrated with the abortion controversy. Pro-life advocates can claim a formal equality for laws restricting abortion, even though the burden is borne only by women, because the law equally affects all members of the class of persons capable of giving birth. But a truer measure of actual equality in regard to the communitarian value of preserving life would require that men bear an equal "pro-life" burden -- as for example by giving life-saving body parts to victims of the accident he earlier hypothesized. Without advocating such an extreme measure, Calabresi argued such an equality would at least provide a test of the ernestness of male pro-life advocates. Although there are no simple ways of creating precise equality -- there will always be some disparity between the "we's" that make the law and the "they's" that are burdened by it -- it is the great challenge for modern constitutionalists to do so, in order to mediate the competing demands of "liberte" and "fraternite." |
■18日(火) | "Comparative Law and Economics" 契約法を扱いました。 |
■19日(水) | "Colloquium in Contracts and Commercial Law": Douglas G. Baird & Edward R. Morrison, "Optimal Timing and Legal Decisionmaking: The Case of the Liquidation Decision in Bankruptcy"を扱いました。Baird教授、Morrison氏の二人ともシカゴ大学から参加しましたが、Morrison氏は、シカゴのロースクールの3年生だそうです。驚きました。報告内容は、「オプション理論」の応用でした。これにも驚きました。 |
■22日(土) | ■NYT 4/22/00 p.A15 "Lawyer Auction
in an Auction Suit"
オークション・ハウスである、サザビーズとクリスティズに対するクラスアクションで、原告側代理人をオークションで選ぶことになったというニュース。 |
■24日(月) | Olin Student Lunch Discussion:Chris
Sanchirico, "Competing
Norms and Social Evolution: Is the "Fittest" Norm Efficient?"
ヴァージニア大学には、The John M. Olin Program in Law and Economics というものがありますが、そこが主催して月1回、学生とのランチョン形式の研究会があります。この日は、今年度の最終回で、効率的な規範が(ダーウィンの意味で)「適者」とは限らないことを、シミュレーションを使って示すおもしろい報告でした。 |
■25日(火) | "Comparative Law and Economics"(最終回) 不法行為法を扱いました |
■26日(水) | "Colloquium in Contracts and Commercial Law"(最終回):Clayton Gillette, "Reputation, Intermediaries, and Defamation in Electronic Commerce".この日は、スコット学部長のご自宅でセミナーが開かれました。豪邸でびっくりしました。ジレット教授のペーパーは、eBayなどのインターネット・オークションにおける「評判」のメカニズムについての研究でした。EBayには、オークションの参加者が取引相手を評価するフィードバック機構がありますが、そこで否定的評価が少ないのは、評価入力画面に名誉毀損に関する注意書きがあることが抑止力になっているからではないかというのがジレット教授の見通しで、このフィードバック機能を生かすために名誉毀損の成立範囲を限定すべきと論じていました。でも、楽天市場やビッダーズのような日本のオークション・サイトにおけるフィード・バック機構も、否定的評価は圧倒的少数ですが、評価入力画面には、名誉毀損に関する注意書きはないようです。そのこと、ジレット教授に後日お伝えしました。ところで、残念なことに、ジレット教授は今期を最後にUVAを去り、NYUに移られます。 |
■27日(木) | ロースクールの図書館で、リーガルものの映画のビデオを貸し出しているのを知って、早速"Civil Action"(主演:ジョン・トラボルタ)を借りました。 |
■28日(金) | Spring 2000 Term の最終日でした。 |
■29日(土) | Foxfield Horseraceという競馬に行ってきました。草原でピクニックをしながらの、わいわいがやがやお祭りでした。
■4/29/00 凄い「子の引渡」がなされました。 eg. 特集 "Seizing Elian: Inside the Raid" Newsweek, May 1, 2000 エリアン・ゴンザレス少年事件、皆さん興奮しています。移民局のホームページにまで、エリアン少年関係のコーナーがあります。(もうなくなっているようです) |
■30日(日) | ショッピングセンターの駐車場の交差点で止まっていたら、横に駐車していた自動車がバックしてきてぶつけられてしまいました。"買ったばかりの中古車"のドアがへこんでしまいました。どこを見てバックしているのでしょう。〔後になって、相手のドライバーはuninsuredだったことが判明;けっこう後始末に消耗しました。〕 |
■4日(木) | 同僚だったLuke Nottage助教授と一緒に、昨年九州大学で開講していた授業から、5名の学生がWillem C. Vis International Commercial Arbitration Moot(4月)に出場していたのですが、その結果が届きました。出場79校中39位!初出場にしては上出来です。〔この経験については、ノッテジ助教授と共著で短い原稿を書きました。「ウィーン売買条約(CISG)と法学教育」というタイトルで簡約版がジュリスト1185号24頁(2000年)に掲載され、詳細版が法政研究67巻3号に掲載予定です(2000年12月刊行予定)。〕 | |
■6日、7日(土日) | American Law
and Economics Association (ALEA) Tenth Annual Meeting @NYU
アメリカの「法と経済学」の活気を感じ取れて面白かったですし、研究者の名前と顔を一致させることができたのも収穫でした。ところで、いまの法と経済学は、「効率性」一辺倒では決してありません。むしろ、法ないし規範と、人の行動ないし社会の相互作用を研究する、「インセンティブ」の学問といった方がよいように思います。経済学の手法を使っていますが、問題意識は(法解釈学的ではないかもしれませんが)とても法律学的です。今回の学会で聞いたのは、下記の報告です。 また、この学会で強く印象に残ったのが、discussion paper/working paperの慣行です。これについては、短い文章「知のバザール」を書きました。
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■11日(木) | ■NYT 5/11/00 p1&C2 "EBay Cancels Sale and Suspends Seller in Painting Auction" | |
■13日(土) | Charlottesville をtornadoが襲いました。午後8時前から翌朝5時すぎまで停電です。地元紙のオンライン版"Daily
Progress Online"(5/14/00)は次のように伝えています。
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■17日(水) | THE AMERICAN LAW INSTITUTE
(ALI) 77th Annual Meeting @Mayflower Rennassaince Hotel, Washington,
DC
総会は、15日〜18日までの4日間にわたって開催されていましたが、私は17日のみ参加しました。当日は、Restatement of the Law Third, Restitution and Unjust EnrichmentのDiscussion Draftについての検討のほか、UCC第1編と第2編のDiscussion Draft についての審議がなされました。UCCの改正には、ALIとNCCUSLの両方の承認が必要ですが、ALIが昨年の総会で承認したUCC2改正草案の審議をNCCUSLが途中で打ち切ったために、新しい起草委員会の下で仕切りなおしになっています。[この間の事情については、ココの注7をご覧ください。] 今回のALI総会では、UCC2の"Discussion Draft"(正式の草案ではなくて、ラフな叩き台)までしか用意されておらず、ALIはによる草案の承認というところまでは進みませんでしたが、NCCUSLが今年の夏の総会でUCC2の承認、公開を強行する(つまり、ALIを無視する)との噂もあり、ALIとNCCUSLの間で緊張関係が高まっています。 総会では、Amy Boss, Don King, Peter Linzer, Del Duca, Pat Fry教授らともお会いできました。また、総会前夜は学生時代からの友人で、現在ワシントン勤務のI君と久しぶりに食事をしました。 |
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■21日(日) | ロースクールの卒業式でした。アメリカの大学の卒業式は、卒業生の一家が集まってお祭り騒ぎをします。
卒業生に与えられる award の受賞者がほぼ全員が女性でした。 |
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■28日(日) | 弘文堂から出版される、ロバート・A・ヒルマン=笠井修(編)『現代アメリカ契約法』の翻訳担当分を提出。【2000年9月末には刷り上りました。すごい早業です。】 |
2000年6月
■3日(土) | Thomas Jeffersonの邸宅があった Monticello を初めて訪れました。家から自動車で30分もかからなかったので、少し拍子抜けしました。それでも、ジェファーソンは、実は私の子どもの頃からの「尊敬する人」でしたので、感無量です。 子どもの頃、ジェファーソンの起草した独立宣言や彼の合理主義は、わたしの「アメリカ」の原イメージの中核にありました。もちろん、それが今のアメリカの姿とストレートにだぶるなどという、ナイーブなことは言いませんけれども。 |
■6日(火) | Summer Faculty Workshop,Kenneth
Abraham "The Rise and Fall of Commercial
Liability Insurance"
学期中も毎週1回、faculty workshopが開かれていましたが、夏休みの間も、ランチョンの形式で少しリラックスしたworkshopが再開しました。今回はその第2回目でした。 |
■7日(水) | ■6/7/00 Microsoft 分割命令(地裁)! マスコミも大騒ぎです。訴訟におけるマイクロソフトの態度が悪かったから分割命令が出たという論調です。ジャクソン裁判官の判決を読むと、そういう気もしてきます。〔これについては、9月7日の日記もご参照ください。〕 |
■9日(金) | ■6/9/00 Inside UVA p.12 "Commonwealth settles
third U.Va. balcony lawsuit"
3年前、UVAの卒業式で、列席者が座っていたバルコニーの床が抜けて、死傷者がでたそうです。当然、バージニア州はいくつかの訴訟をかかえることになったわけですが、その一つで和解が成立したというニュースです。州は免責特権があるので勝てる自信はあるけれども、訴訟に資源を費やすよりは、和解に応じた方が双方幸せということのようです。それにしても、いまどき免責特権とは驚きました。本当なのでしょうか。 |
■13日(火) | Summer Faculty Workshop,Jennifer
Mnookin, "Theathers of Proof: Visual Evidende and the Law in Call Northside
777 "
Film noir (犯罪映画)の1つを素材にした研究。「法と文学」から派生した「法と映画(Law and Film)」という分野があるそうです。"LEGAL REELISM"という本もあります。「法と文学」には、「law in literature型」と「law as literature型」とに分類されることが多いそうですが、そういえば、日本でも『法学教室』に、「ビデオで法律学」とかいう連載がなされていました。こちらは、「law in literature型」で、学生向けの興味喚起型教材ですが。 〔Mnookin教授については、9月11日の日記もご覧ください〕 |
■19日(月) | 客員研究員でいらしていた松永裁判官ご夫妻の送別会でした。松永さんには、こちらに来る前からいろいろとアドヴァイスをいただいて、大変お世話になりました。 |
■20日(火) | Summer Faculty Workshop,
Edmund
W. Kitch, "Can Changes in the Law Explain the 'New Economy'"
人々の法に対する態度が、ここ20-30年の間に変わり、法の遵守が絶対的価値でなくなってきていて、人が要領よくなってきている;法と経済学がそれに影響していて、また、良心的兵役拒否のインパクトもみられるとする。キッチュ曰く、これは work of journalistic speculationだそうです。でも、ありそうな話である。(契約を破る自由) |
■27日(水) | Summer Faculty
Workshop,Julian Ku, "Customary International
Law in State Courts"
今日の報告者はOlin Program in Law & Economicsのフェローの一人でした。Yaleのロースクールを出て、1年間ここで論文を書いていたようです。この夏はBar‐bri(司法試験予備校のひとつです)で勉強しているとか・・・。報告内容は、国際慣習法は州法マターか連邦法マターかという問題についてでした。どう考えても、連邦法だろうと思うのですが、それに反対する「ヴァージニア学派」があるのだそうで、実際、州の裁判所で国際慣習法を適用する裁判例が多いとか。でも、そこで主として念頭においているのは、国際人権法に関する慣習法とのことなので、慣習法を適用しているのは隠れ蓑で、本当はpublic policyを問題にしているということなのかもしれない、と思いながら話を聞いていました。 |
■30日(金) | 連邦の電子署名法(正式には「グローバルおよび国内商取引における電子署名法(Electronic
Signatures in Global and National Commerce Act)」、E-Signと略称されることになりそうです)にクリントン大統領が署名しました。ペンとインクで法案に署名したあと、スマートカードを使った電子署名のデモも行なったようです。役者です。なお、E-SIGNにつきましては、簡単な紹介を書きました。「電子取引の法的基盤整備―アメリカにおける取組み」ジュリスト1183号(2000年8月1-15日号)。6月は結局これにかかりきりでした。
■NYT 6/30/00 p.A23 "For 1776 Copy of Declaration,
a Record"
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■1日(土) | ワシントンDCまでドライブしました。街中は4日の独立記念日に向けた準備が進んでいました。私たちはモールの周りを回って、ジェファソン・メモリアルに行ってきました。ジェファソンは、アメリカ建国の精神的支柱として、尊敬を集めていることがよく分かります。
帰路、ワシントン郊外のコリアン系のショッピング・センターで買出しをして帰りました。日本の食品も、たいていのものは手に入ります。 |
■4日(火) | 独立記念日。毎年この日、新しく合衆国市民になる人たちの宣誓式が、モンティチェロの庭で行われます。私たちも、見学に行ってきました。今年は、自分自身が移民であるオルブライト国務長官が来賓のスピーチをしました。 |
■10日(月) | ロースクールの図書館のなかにある研究室に引越しました。部屋の2面が窓という明るい部屋です。同室の姜さんは、韓国からいらしている民事訴訟法がご専門の客員研究員で、愉快な方です。 |
■14日(金) | 夏の間、毎週金曜日にシャーロッツビル郊外でポロの試合が行われています。ピクニックがてら、出かけてきました。皆さん、のんびりとピクニックをしながら楽しく観戦ですが、簡易テーブルを広げて、そのうえに真っ白なテーブルクロスをかけ、ろうそくを立て、紙皿ではなくてちゃんとした陶器の食器を使って、おしゃれにピクニックをしているので驚きました。おにぎりをパクついていた私たちは、ちょっと場違いだったかもしれません・・・。 |
■16日(日) | 日本から知人が二人、シャーロッツビルを訪れて来てくれましたので、モンティチェロに行ってきました。わたしも初めてジェファソンの墓標のあるところまで行きました。ジェファーソンは合衆国の第3代大統領をつとめたわけですが、彼の墓標には、独立宣言の起草、信教の自由に関するヴァージニア憲章の起草、そしてヴァージニア大学の創立のみが、彼の業績として彫られています。 |
■18日(火) | Summer Faculty Workshop,
Kevin
Kordana, "Theoritical Considerations in Charitable Conversions"
7月は18日目にしてようやく、研究に関する話題です。非営利公益団体から営利団体への資産譲渡は、疑惑の眼でみられることが多いそうです(主に念頭におかれていたのは、非営利の病院から営利病院への資産譲渡)。報告はそれに対する反論でした(法と経済学)。Non-Profit Organization法が一つの学問分野としてあるのも驚きです。ちなみに、この報告にもオークションの話が出てきました。オークション花盛りです。 |
■21日(金) | またポロを見てきました。日本から訪れている知人と一緒です。先週のおにぎりが場違いだったので、今回はほんの少し張り切りました。アメリカでは、RV車やピックアップトラックなどの荷台を開けてピクニックを行う、tailgate
picnicというのがありますが、わたしたちもセダンのトランクを開けて、ちょっと真似をしてみました。
日が落ちるのが、少し早くなってきたように感じます。 |
■25日(火) | Summer Faculty Workshop,
J.H.Verkerke.
"Legal Ignorance and Information-Forcing Rules"
Virginia学派は、いわゆる"penalty default"を"information-forcing rules"と呼びます。 最初タイトルをみたときは、default rule analysisの非現実性(法の不知!)を批判する報告かなと思っていたのですが、そうではありませんでした。優越的な法的知識を有する当事者に、法状況を説明するインセンティブを与えるように法制度設計をすべきという話でした。たとえば、雇用契約はいつでも終了できるのがデフォルト・ルールだけれども、裁判所は「正当事由」がある場合に任意終了を限定する黙示条項を読み込む傾向にあるのは、それによって雇用者が明示的に任意終了できる契約であることを被用者に伝えるように仕向けるためだといった議論のようです。UCCがワランティについて規定をおいているのも、それによって売主等がワランティ免責条項を契約に入れて、買主にワランティはないことを知らしめるためだというようなこともいっていました。しかし、法的に無知な当事者は、そんな情報を教えてもらってもどうしようもないだろうという気もするのですが・・・。 ところで、議論のなかで、Paul Mahoney教授が「コメディアンが面白いのは、彼らは他の人とは違ったものの見方をするからだ」というようなことを言っていたのですが(コンテクストは忘れました)、それを聞いて"Law & Economics as Comedy"という仮説も成り立つかなと思ったりしました。いかがでしょうか。 話が全然飛びますが、ロースクールの建物は冷房の効きすぎで、本当に寒いです。 |
■27日(木) | ■NYT 7/27/00 p.E1&E8 "Saving the Nations
Digital Legacy: A New Report Says The Library of Congress is not Keeping
Up with New Media"
議会図書館におけるデジタル・コンテンツ保存についての記事。別のところで読んだのですが、最近の学術書は価格を抑えるために参考文献表をハードコピーには載せず、出版社や著者のウェッブにのみのせるものがあるとか。本は一度入手すれば(自己責任できちんと保存すれば)いつでも参照できますが、ウェッブだとその保証はないので心配です。出版社の倒産、著者の死亡とともに、知的財産が消えていくことにもなり兼ねません。そういう意味で、こういったデジタル・コンテンツを図書館が保存するのは大事です。日本の国会図書館はどのような対応をしているのか興味があります。 |
■29日(土) | 第5代大統領ジャームズ・モンローの邸宅がある"Ash Lawn"に行ってきました。シャーロッツビルの町からモンティチェロの横を通って、自動車でさらに10分ほどのところです。今日のお目当ては子供向けの野外劇&ピクニックです。 |
■31日(月) | NCCUSL総会に出発。 |
■1日(火)〜4日(金) | National Conference
of Commissioners on Uniform State Laws (NCCUSL) 2000 Annual Meeting
@St. Augustine, Florida
UCC第二編改正の承認は来年に持ち越され、UCITAは修正を受けました。これについては、別にレポート「NCCUSL年次総会(2000年)における情報契約と電子取引」を書きました【より詳細なレポートが、「(資料)NCCUSL年次総会(2000年)におけるUCC第2編とUCITAの審議」として法政研究67巻3号に掲載予定(2000年12月刊行予定) です】。総会では会沢恒助教授(北海道大学)にお会いしました。ちなみに、会場となったWorld Golf Villageは、まるでバブル期につくられた日本のリゾートのように閑散としたゴルフ・リゾートでした。夏のフロリダという時期が悪かったのかもしれませんが。 この間、大統領選挙に向けた共和党大会が開催されていて、テレビでも連日連夜詳細な報道がなされていました。合衆国憲法第12修正は、選挙権者は大統領と副大統領の両方について自分と同じ州のinhabitantに投票してはならない(つまり、少なくとも片方は別の州の人に投票しなければならない)と規定していますが、副大統領候補のチェイニー氏は、ほんの数日前に住所をテキサス州からワイオミング州に住居を移しています(ブッシュ大統領候補はテキサス州知事で、そこに住所があります)。これで、テキサス州の選挙権者も、ブッシュとチェイニーの両方に投票できるようになったということのようですが、こんなに簡単に第12修正を迂回できてよいものなのでしょうか。【これはやはり訴訟になっていたようです。報道をみただけですので、はっきりしませんが、チェイニーの住所の問題は憲法上問題ないとしていた第5巡回区の連邦控訴裁判所の判決を、合衆国最高裁も(結果的に)支持したようです。Cert. deniedということかと思います。---2001年1月10日追記】 |
■5日(土) | 先週に引き続き、"Ash Lawn"にて野外劇&ピクニック。 |
■6日(日) | ジュリスト編集部に、「 (随想)ウィーン売買条約(CISG)と法学教育」(ルーク・ノッテジ助教授と共著)の原稿を提出。【ジュリスト1185号24頁(2000年9月15日号)に掲載されました。】 |
■7日(月) | ■NYT 8/7/00 p.C14 "'Big Brother' Host Seeking
Credibility"
CBS放送が、"Big Brother"というテレビ番組を放映中です。初対面の人たちを数ヶ月間一つの家で生活させて、その様子を、家のいたるところに設置されたテレビカメラで覗こうというちょっと趣味の悪いバラエティ番組です。その司会をJulie ChenというCBSのニュース部門のパーソナリティが担当しているのですが、ジャーナリストとしての信用性が失われるということで、これがちょっとした論争をよんでいます。そういえば、わたしがアメリカに来てすぐの頃、俳優のレオナルド・デカプリオがクリントン大統領に対してした環境問題についてのインタビューをABCテレビが放映することに対して、ABCのニュース記者たちが激しく反対していました。どちらも、ジャーナリズムにおけるintegrityが問題になっているのだと思いますが、日本では芸能人(非ジャーナリスト)がキャスターを務めていると知ったら、こちらの人はどういう反応をするのでしょうか。 ところで、ABCテレビには毎週平日深夜に「ナイトライン」というニュース番組があります。日本でもNHKのBS放送でやっているはすです。10年前にミシガン大学に留学していたときから、そのキャスターをやっているテッド・コッペル氏のファンだったのですが、当時はその時々の話題について、反対の立場にたつ人たちを登場させてその場で討論をさせていて、なかなか緊迫感があったのですが、いまの「ナイトライン」では、そういう緊迫感ある討論はみることができません。少し寂しいです。 |
■8日(火) | Summer Faculty Workshop. Alan J. Meese(William & Mary School of Law) "The Team Production Theory of Corporate Law: A Critical Assesment よく分かりませんでした(^^;; |
■9日(水) | 法政研究編集委員会に「(資料)ウィーン売買条約(CISG)と法学教育―第七回ウィレム・C・ヴィス模擬国際商事仲裁大会参加記―」(ルーク・ノッテジ助教授と共著) の原稿提出。〔法政研究67巻3号745-753頁(2001年1月)に掲載されました。〕 |
■11、12日(土日) | ワシントンDCに遊びに行きました。ワシントンの地下鉄は、ポトマック川を渡って対岸のバージニア州にも伸びています。日帰りだとほとんど観光できないので、今回は思い切って地下鉄沿線で一泊しました。Lincoln Memorial近辺とNational Gallery of Artが今回の主な目当てでした。 |
■15日(火) | Summer Faculty Workshop(最終回)Laurens
Walker, "A Simple Plan for Complex Civil Trials"
夏のワークショップもこれが最終回です。報告は、クラス・アクションにおける安易な和解を問題視してその解決策を模索するものでした。連邦のクラスアクションで実際にトライアル(事実審理)まで進んだ例はほとんどなくて、大部分は和解で終結しているのだそうです(いくつかあるComplex litigationのケースブックには、"trial"に関する章を設けていないものもあったとか)。そして、1997年と98年の最高裁判決までは、和解のためのクラス認定が比較的容易になされていたために、訴訟のリスクを避けて和解をしたい原告側代理人(←報酬を確実にとりたい)とクラスの間に利益相反が生じていたのだそうです。Cf. RAND Institute for Civil Justice, Class Action Dilemmas: Pursuing Public Goals for Private Gain, Executive Summary (1999)〔未見〕 夏休みもそろそろ終わりに近づき、来週からいよいよ授業が始まります。夏の間閑散としていた街中も少しずつ人が増えてきたようです。アパートの駐車場も、ここ2,3日で、一気に車の数が増えました。 |
■17日(木) | 秋学期から新しく来たLL.M./SJDの歓迎バーベキュー・パーティが、Dooley教授のお宅で開かれました。ファカルティの方も何名か来られていて、まだ話をしたことのなかった先生方とも話ができました。LLMは総勢40名ほどのようですが、日本からは4名の方がおいでです(弁護士1名、企業3名)。
今日は、大統領選に向けた民主党大会の最終日でもありました(大会は14日から開かれていました)。ゴア副大統領は"stiff"だと批判(?)されることが多いのですが、今日のスピーチもちょっと固かったような気が・・・。大会初日にスピーチをしたクリントン大統領が、リラックスして余裕たっぷりなのと好対照だったように思います。それにしても、クリントン大統領はスキャンダルで人気凋落なのかと思っていましたら、支持率60%以上で、民主党員には大変愛されているのだそうです。 |
■19日(土) | 日本からおいでのIさんのご自宅に、バーベキュー・パーティに招かれました。楽しいひとときでした。ご自宅も街中から少し離れたところにあって、庭も広くて素敵でした。 |
■23日(水) | いよいよ新学期がはじまりました。今学期は、授業の聴講は最小限にして、自分の研究とワークショップ等に重点をおくことにしました(surgical!)。聴講するのは、"Comparative
Law" と
"American Legal History"という2つの授業です。前者は、Paul
Stephan,III教授とHerbert Hausmaninger教授によるセミナーですが、通常の比較法の授業とは少し様相が違って、Law
& Developmentの視点に軸足がおかれています。Hausmaninger教授はウィーン大学からの客員教授です。後者はBarry
Cushman教授による授業で、Morton Horwitz, The Transformation of American
Law 1780-1860 (古い方です)がテキストに指定されています。
■NYT 8/23/00 p.A1 & A16, William Glaberson "States Rein in Truth-Bending in Court Races" アメリカの多くの州では、裁判官も選挙で選ばれます。そのための選挙運動が最近はuglyになってきていて、テレビでライバル候補の個人攻撃もなされるようになってきているそうです。選挙に勝った現職裁判官も懲戒処分を受けているとか。 |
■25,26日(金土) | 自主休暇です。家から自動車で1時間半ほどのところにある、Douthat State Parkでキャンプ!張り切ってテントを建てた途端、突然の雷雨に見舞われ、寝袋も濡れてしまいました。雨はじきにあがりましたが、薪も濡れてしまい、火を付けるのに苦労しました。それでも、子どもは大変楽しんでいました。この公園の池では水泳も楽しめて、かなりのお勧めです。また行こうと思います。 |
■1日(金) | ロースクールの客員研究員(なんと、今は韓国人2名、日本人3名という陣容です)で昼食会をしました。夜はポロ、今年度最終試合にふさわしい接戦でした。 |
■4日(月) | Labor Day。しかし、なぜか休講にはなりません。
Presidential
Debateについて 〔お断り:私は法学部に勤務していますが、政治学は全くの素人です。以下は、居酒屋政談の類です。〕
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■6日(水) | 昨日から、急に涼しくなってきました。そろそろ秋なのでしょうか。
The Olin Lecture, F.M. Scherer, "Antitrust
in High-Technology Industries and the Microsoft Case"
■The Cavalier Daily 9/6/00 p.A1 & B5 "Sex
Change: University Celebrates 30 Years of Coeducation"
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■9、10日(金土) | キャンプ。場所は先々週と同じDouthat State Park。でも、先々週と違ってゴージャスな天気でした。 |
■11日(月) | 今日からRobert Mnookin教授(Harvard)による"The
Lawyer as Negotiator"という授業が始まりました。Mnookin教授は、Harvard
Negotiation Program (PON)の中心人物ですし、"Bargaining in the Shadow
of the Law" の、あのMnookinでもあります。ここでお会いできるとは思いませんでした。
約10年前にミシガン大学でJ.J.White教授の同じ名前の授業に出席して以来、「交渉理論」には興味をもち続けていましたので(九州大学に移ってからは少し離れていましたが)、聴講を許してもらいました(朝8:20開始だというのが、つらいところではあります)。テキストは出版されたばかりの Mnookin, Peppet, & Tulumello, "Beyond Winning: Negotiating to Create Value in Deals and Disputes"(Belknap Press of Harvard Univ. Press, 2000) が使われています [cf. www.beyondwinning.com]。ちなみに、バージニア大学で証拠法などを教えているJennifer Mnooking教授〔6月13日の日記参照〕はお嬢さんだそうです。"Beyond Winning"は、Jennifer先生のところに最近生まれたSophiaちゃんに捧げられています。 ■NYT 9/11/00 p.C4, Michael Brick, "When the Judge
Can't Really Judge: Business Technology Cases Raise Issues of Competence"
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■13日(水) | Lecture, Martha
Nussbaum教授 (Chicago) "The
Costs of Tragedy: Some Moral Limits of Cost-Benefit Analysis"
コスト・ベネフィット分析にはなじまない基本権があるという話だったのではないかと思いますが、本当にそれだけの話だったように思えましたし、もっと高尚な話をしていたのかどうか、よく分かりませんでした。すみません。 |
■15日(金) | えっ、シドニー・オリンピック、もう始まっていたのですか? 全然知りませんでした(^^;; アメリカでは、時差の関係で録画放送ばかりです。 |
■16日(土) | 日本で「産業構造審議会情報経済部会第一次提言(案)」に対するパブリックコメント募集がなされていることを最近教えてもらい、意見を提出しました。それにしても包括的な提言案です。 |
■18日(月) | Olin Faculty Workshop,Robert
Mnookin "タイトル不詳"。
新著"Beyond Winning"の舞台裏と、ロースクール科目としての「交渉」の重要性について、というような話でした。 |
■21日(木) | 法政研究編集委員会に「(資料)NCCUSL年次総会(2000年)におけるUCC第2編とUCITAの審議」の原稿提出。〔法政研究67巻3号922-888(F1-F35)頁(2001年1月)に掲載されました。〕 |
■25〜10月1日(月〜日) | ちょっと修行の旅にでかけました。 |