福田政権にとって最初の難関は、テロ特措法の延長問題である。政府与党は諸外国や国連まで動員して、給油活動の継続が国際的な期待を得ていることを強調している。しかし、給油を継続するかどうかは、あくまで日本人自身が判断すべき問題である。
折しも、「テロとの戦い」という美辞麗句の陰で、日本が提供している石油がイラクにおけるアメリカの軍事行動のために使われていることが明らかとなった。このようなインチキで給油活動を継続させてはならない。福田首相は、政治に対する信頼回復を訴えているが、国の基本に関わる重要問題について、国民に対して真相を隠したまま、アメリカのご用聞きをするような政府が、信頼回復できるはずはない。
ことを急ぐ必要はない。今の日本政治に必要なことは、今まで政府が何をしてきたかを明らかにし、その上で期限や結論を決めずにこれから何をすべきか議論を深めることである。政府与党の幹部は二言目には日本の国際的信用というが、安倍政権の惨めな瓦解で既に国際的な信用は失墜している。こそくな外圧の利用は、日本に対する軽蔑をいっそう招くに違いない。この上は、地道に民主政治の議論を積み重ねることこそ、国際的なイメージを好転する道でもある。民主党は絶対に安易な妥協をせずに、国民に対する説明責任を果たしてもらいたい。
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