オーストラリアでも政権交代が起こった。これで、イラク戦争を支持し、アメリカに協力した国のほとんどで政権交代が起こったことになる。各国の国民は、イラク戦争に荷担した政府指導者を厳しく罰したわけである。折しも、日本では、テロ対策新法の審議をめぐって与野党対決が続いている。この際、テロとの戦いとは何かを根本的に考えるべきである。
インド洋での海上自衛隊による給油が中断したことで、政府与党は日本がテロとの戦いから離脱したと主張している。しかし、この問題に対する外国の関心は低い。アフガニスタンにおける平和の回復という大目的に照らして日本の貢献策を考えるという脈絡ではなく、自衛隊を出すこと自体が目的になっていた観が否めない。
参議院では民主党がイラク特措法を廃止する議員立法を提出し、テロ対策新法の審議が後回しになっている。さほど緊急性のない給油を再開することよりも、テロとの戦いの名目で行われてきた自衛隊の海外派遣を検証することのほうが、日本にとっては重要だと私には思える。イラクで航空自衛隊の輸送機が何を運び、実際のところ誰に貢献しているのか、実は国民にも十分知らされていないのではないか。
今からでも遅くない。イラクへの自衛隊派遣を正当化した小泉元首相の詭弁を思い出し、政策決定のいい加減さを反省すべきである。そして、国会で日本がなすべき国際貢献とは何かをよく考えるべきである。
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