通常国会が始まり、予算と今話題の揮発油税など予算関連法案が、最大の争点となっている。民主党は、与野党間の対決を揮発油税の暫定税率廃止という小さな争点に向け、局地戦を戦おうとしているように見える。局地戦で敵を動揺させることが一時的にできるかもしれないが、やはり自分たちが天下を取ったときに日本社会はどうなるかという大きな絵を示さないことには、天下分け目の戦いに勝つことはできないであろう。
今の政府が目指しているのは、低負担低福祉のアメリカ型社会である。貧困や地方の疲弊などの社会問題に対して警鐘を鳴らす大新聞も、予算編成のときになると歳出削減の努力をやめるなと、財務省や経済財政諮問会議と同じことを言う。社会問題の解決のために歳出を増やすという主張は少数派である。
しかし、各種の世論調査が示すとおり、多くの国民は社会保障を中心に政府に積極的な役割を果たしてほしいと考えている。高負担高福祉の北欧型、中負担中福祉のイギリス型など、他の選択肢を示す政党が存在しなければ、国民としても選挙の際に選びようがない。
政策問題で政党間が対決し、論争するのは大いに結構である。それが妥協できない対立ならば、最後は法的手続きに則って決着をつけるしかない。ただ、その論争は日本の将来を選択することにつながる大きなものでなければならない。民主党には政権戦略を本気で考えてもらいたい。
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