このところ、政府はまったく機能していない。自然成立する予算はよいとしても、租税に関する法案は年度内に決着させなければ、行政は混乱する。衆参ねじれ状態の国会運営の難しさは外野の想像を超えるものかも知れないが、政府与党の稚拙な対応には呆れる。
予算、関連法案を二月中に衆議院通過させるために、強行採決し、野党の抗戦に理由を与えた。道路特定財源の問題については、参議院の審議入りの段階になって与党から修正の議論が出てきた。日銀総裁人事に関しては、野党が反対することが分かっているのに、武藤敏郎氏にこだわり、国会の停滞を招いた。
法案にせよ、人事にせよ、参議院の合意がなければ円滑な成立はあり得ないのであり、政府与党の原案を修正することは不可避である。そして、どうせ修正するならば、もっと早い段階で、野党も断れないような譲歩を示して、法案や人事案件の審議を円滑に進めるのが、政治家の知恵というものであろう。
今の福田康夫首相は、漁船が接近しているのが見えているのに何の回避行動も取らなかったイージス艦の艦長に重なって見える。そう考えると、例の事故について究明できない理由も分かる。上は総理大臣から、下は自衛隊の現場に至るまで、事故や紛糾が起こるのは、力を持った自分たちの邪魔をするおまえたちが悪いからだという発想が一貫しているからなのだろう。
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