揮発油税の暫定税率をめぐる与野党対決は、結局平行線のまま年度を越えそうである。政策論の観点から見れば、福田康夫首相が提案したように、暫定税率は維持したまま特定財源を廃止し、ガソリンにかかる税金を道路建設以外に有効に活用することが望ましいと私は思う。
小沢民主党がこの提案を一蹴したのは、政局的判断を政策論に優先させたということであろう。一九九八年の金融危機の際、当時の菅直人民主党代表が金融問題を政局にしないと発言したことに、当時自由党党首であった小沢一郎氏は反発し、以後自民党との連立に走った。小沢氏は政局の人である。
政治の世界は権力闘争の世界であり、理屈よりも政局を優先させることも私は一概に否定しない。小沢氏には今こそ倒閣、政変のチャンスという読みがあるに違いない。ならば、なおのこと小沢氏自身が自ら権力を握り、日本の窮地をどのようにして救うのか、自らの言葉で語らなければならない。
民主党は、政権打倒の大義名分を立てられるのか。政変や政党再編がそれ自体目標とされるのであれば、世論は民主党についていかないであろう。倒閣に舵を切った民主党の政治家の、胆力と言葉が問われている。
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