政局の行方を左右するといわれていた衆議院山口2区の補欠選挙は、民主党の圧勝に終わった。福田政権の支持率はさらに下降を続けており、もはやこの政権は終末を迎えようとしている。民主党が政権交代だと意気込むのも分かるが、天の邪鬼の私としては、あの補選に示された民意を確認しておきたいと思う。
実は、投票の3日前に、民主党の平岡秀夫候補の応援のために私は岩国に入った。岩国では今年2月に米軍移設と基地拡張を争点とした激しい市長選挙が行われ、与党側が勝利した。地元の市民は市長選挙の雪辱のために、補選に燃えているかと思いきや、予想は外れた。基地拡張反対運動を熱心にした市民ほど、民主党が勝ったからといってこの問題について有効な解決策を示すことはないだろうという、ある意味では現実的で冷めた認識を持っていた。それでも、出口調査が示す通り、共産党、社民党支持者や無党派層のかなりは、民主党に投票していた。
民主党が政権の選択肢となるためには、地方自治を踏みにじった自公政権に対する、岩国市民の切ない抵抗の思いを汲み取ることが必要である。今すぐ日米安保をなくすことができないことなど、誰でも分かっている。問題は、これから政権を取ろうという政治家が、たとえば米国に対しても、日本の国益を主張する知力と胆力を持っているかどうかである。
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