日中関係について議論がかまびすしいところに、中国四川省で大地震が発生した。犠牲者が5万人を超えると聞くと、あまりの悲惨さに想像さえできない。日本人としてもできるだけの支援をしたいと思う。被災者には申し訳ないが、これを契機に日中関係を普通の隣人関係にできればとも願う。
侵略の歴史には触れないようにしようというのは被害者の側から言うせりふであって、日本人は歴史の負債を忘れてはならない。しかし、だからといって、今の中国がしていることについて一切批判してはならないというわけではない。チベット問題についても、国際的常識に照らした批判が必要である。
日本も中国も、謙虚で寛容な愛国心の確立という課題については、成功しているとは言えない。聖火リレーを守ろうとする中国人学生を見れば、愛国心とは自国の政府のすることをすべて肯定、讃美することではないと言いたくなる。
しかし、同じことは日本の自称ナショナリストにも当てはまる。日本でも学校教育で愛国心教育を強化しようという動きが進んでいるが、文科省や自民党文教族に問いたい。あなた方は、条件反射的に自国の政府を讃美するような若者を作りたいのかと。
自国のよいところには誇りを持つが、迷惑をかければ謝る。困った時には助け合う。それが普通の隣人関係である。
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