私は今年50になる。いわゆる論壇でものを書き始めて20年になろうとしている。長い間次の世代の論客が出てこないことに不満を持っていたが、最近ようやく若手が活発に発言するようになった。論客というのは十数年おきに塊で現れるようである。私の同世代には、香山リカや佐藤優など、1950年代末から60年生まれの論客がいる。今発言し始めたのは、1970年代前半生まれの人々である。
若い知識人が世の中の現状を批判することは、それ自体で喜びたい。しかし、同時に自分も年を取ったという感慨を覚える。彼らは、新自由主義全盛の現状を批判する時に、今までの左翼がだめだったと言う。そういえば、私たちも十数年前には、団塊世代がだめだから日本が悪くなったと言ったなあ。今度は我々が突き上げられる番だ。
確かに批判されても仕方ない。しかし、若い知識人に対しては、君たちは現実政治と切り結んで、体を張って何かを主張したことがあるかいと訊きたくなる。
そんな反発をすること自体、こちらの老化の表れなのだろう。私たちポスト団塊の世代は、若い世代に対する時、「俺たちの若い頃は」と言うほどの若い頃をもっていない。それはむしろ強みなのだ。若い世代に生意気だなどと説教するよりも、もっと先鋭に書くことに努力したい。
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