洞爺湖サミットまで半月となり、札幌ではサミットを成功させようという掲示も目に付くようになった。そもそもサミットが成功するとはどういうことか、誰からも説明を聞いたことはない。平穏無事に終わることだけが目的だとすれば、最初からそんな会議は開かないほうがよい。
世界の首脳が話し合い、取り組むべき問題は最近急増している。一昔前はグローバル化といえば能天気な規制緩和論を意味していたが、いまは市場の不安定さ自体がグローバルな課題となっている。アメリカ発の金融不安、資源や食料の高騰など、投機の行き過ぎが人々の生活を脅かしている。人間の生活を守るという観点から、経済に関する新たなルールを作ることこそ、世界の首脳の任務である。
福田首相が議長として新しい世界のルールを作り出す動きをはじめることができれば、それこそサミットは成功したことになる。どうせ何もできないと悲観的なことは言いたくない。福田首相はクラスター爆弾の禁止条約の締結に見られたように、外交には熱意を持っているようである。政権支持率を上げるなどという邪心を捨てて、何か1つ世界の未来に向けた問題提起をしてほしい。この点については、OBサミットで活躍した父親の福田赳夫氏を見習ってもらいたい。
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