過日、中央省庁の課長級研修で、現役の官僚を相手に話をした。質疑討論の時間では、マスメディアとどうつきあえばよいかということが話題になった。官僚諸氏はメディアに対して大変な被害者意識を持っている。メディアというのは役所のあら探しばかりして、本当の政策論議を妨げていると、官僚の大半は思っている。
よい仕事をしたらほめられたいという気持ちはよく分かる。しかし、メディアの役割の1つは権力に対する監視機能にあり、現実の行政に失敗や腐敗が起こる以上、メディアが官僚に批判的になることもやむを得ない。
些末な問題ばかりあげつらって、この国が直面する本当の政策課題について議論できないという不満もよく分かる。ならば、官僚自身がもっとメディアで本音の議論をすればよいではないか。道路問題の時の国土交通省のように、誰がどう見ても矛盾のある政策を百パーセント擁護しようとするから、メディアも官僚を攻撃する。当事者が問題を分かっていないはずはない。ここはおかしいと思うが、この点は必要だといった一歩踏み出した政策論を官僚が始めれば、メディアは喜んでそうした主張を伝えるだろう。
元文部科学省の寺脇研氏のような人が疎んじられないような組織になれば、メディアと官僚の関係も変わるだろう。
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