いよいよサミットが始まった。今年のサミットほど、政治的な意味での余命幾ばくもない首脳がそろうことも珍しい。人気低迷に喘ぐブッシュ大統領の任期は残り半年である。イギリスのブラウン首相、日本の福田首相も次の総選挙では政権を失う可能性が高い。フランスのサルコジ大統領も支持率低下に苦しんでいる。
先進国首脳の地盤沈下に加え、中国、インド、ブラジルなど、新興工業国や資源大国の存在感が高まり、G8という頂上はどんどん低くなっている。
とはいえ、巨額の税金を使って会議を開く以上、何か意味のある議論をしてほしい。環境問題への取り組みも重要だが、そんな遠大な話を今の首脳たちに決められるとも思えない。むしろ、今必要なことは、世界的な金融不安や資源・食料価格の暴騰をもたらした原因の分析である。特に、ブッシュ大統領、及びそれに荷担したブラウン首相はイラク戦争の誤りについて世界の人々に謝罪すべきである。また、利益追求を金科玉条にして無軌道な投機を放任したことを反省しなければ、次の経済秩序は構築できないであろう。
サミットが誤った政策を遂行した首脳たちの懺悔の場になれば、それこそ大成功というものだ。福田首相には、明るい話の先陣を切るよりも、反省と懺悔を勧める神父の役割が似合っている。
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