優柔不断の福田首相が8月1日に内閣改造を行い、秋の政局には新しい布陣で臨むことになった。嘘か本当か知らないが、何かの本で、第二次世界大戦末期にベルリンまで追い詰められたドイツ軍では、地下壕の中でヒトラーの側近がポスト争いをしていたという話を読んだことがある。今回の改造もその話を思い出させる。
今の自民党を崩壊寸前のナチスにたとえるのはまことに失礼であり、自民党や福田政権の起死回生の策もないことはないだろう。それにはまず、内閣の目指す方向を明確にすることであり、首相自身が自らの言葉でこの内閣が何をするか宣言しなければならない。
郵政民営化に反対して一度は自民党を追放された政治家が閣僚に起用されたことから、改造内閣では小泉政権以来の改革路線が後退したという論評も目立つ。しかし、その程度のメッセージでは、政策の中身は分らない。
福田首相が、誤った構造改革によってもたらされた社会の荒廃を憂えているならば、それは結構な話である。ならば、残り少ない衆議院の任期の中で、何を実現したいのか、具体的に語るべきだ。少数であってもこれだけはぜひ実現するというテーマが必要である。
与党をまとめるために内向きのエネルギーを費やしていては、それこそ福田政権は崩壊への道をたどるであろう。
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