自民党総裁選挙が始まったが、麻生太郎氏が大きくリードしていると新聞は伝えている。私は、麻生という政治家を基本的に信用していない。その理由は次の通りである。
魚住昭氏が書いた『野中広務 差別と権力』(講談社刊)という本の中で、麻生氏が野中について、部落出身者を総理にするわけにはいかないと自民党河野派の会合で公言したこと、その後、引退直前の最後の自民党総務会で野中氏自身が麻生氏の面前でこのことを暴露し、厳しく糾弾したことが書かれている。先月末、野中氏がTBSの番組に出演し、麻生氏を批判したことには、こうした背景があると思われる。
これが事実なら、麻生氏は総裁失格どころか、政治家失格、人間失格である。差別を是認する者は、公的世界から即刻退くべきである。もし、事実無根ならば、麻生氏はきちんとそのことを訴えるべきである。決して曖昧にできる話ではない。
メディアにもひとこと言いたい。一国の最高指導者になろうとする政治家について、その言動をチェックし、適格性を吟味することは、メディアの使命である。アメリカのメディアは大統領候補について、そうした厳しいチェックを行っている。これだけ重大なことが本に書かれていながら、なぜ日本のメディアは何も伝えないのだろうか。
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