九月後半以来、アメリカ発の金融危機は世界を震撼させている。株価が奈落の底に沈む様子を見て、歴史で習った世界大恐慌とはこんなものだったのかと想像している。
各国政府が公的資金の注入や不良債権の買い取りなどを宣言しているにもかかわらず、市場は反応しない。市場が機能不全に陥った時、政府は最後の砦として信用を支える力を持っているはずだった。今回の経済危機では、政府の信用危機が問題を一層深刻にしている。
政治的にも悪材料が重なった。アメリカでは死に体のジョージ・ブッシュ大統領、イギリスでは超不人気のゴードン・ブラウン首相が事に当たり、日本もリーダーシップの空白に重なった。EUでは各国の利害が対立し、迅速な決定ができない状態である。
しかし今こそ、世界レベルでのニューディールが必要である。カジノ資本主義からの決別を宣言し、環境対策や貧困対策に資金を注ぐという強い決意を、先進国の指導者は語るべきである。行き場を失って投機に流れ、今は恐怖のあまり動きを止めた巨大な資金が存在するはずである。それに道筋を付けることこそ政策の役割である。
経済のメルトダウンを止めるのは、やはり政府の力しかない。財政再建路線も一時棚上げするしかないであろう。
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