二六日、麻生太郎首相が秋葉原で街頭演説を行った。オタクのメッカ秋葉原で若者文化に理解のあるところを示し、人気回復を図ろうという魂胆であろう。この種の見え透いたパフォーマンスを見るにつけ、日本政治の貧困を思い知らされるようで、腹立ちを通り越して、悲しくなる。
秋葉原は、オタク文化の中心地であると共に、今年六月の連続殺傷事件の現場でもあり、現代社会の歪みの象徴である。このような悲惨な事件が起こったことまで首相のせいだとは言わない。しかし、麻生氏はこの数年の間、政府与党の幹部の一人として政治を動かしてきたわけであり、社会を荒廃させたことについては責任の一端を負っている。
仮に麻生氏が首相として国の運営を続けたいのならば、このような希望のない若者を大量に作り出したことについて、深刻に反省し、国民に謝罪することから政治を始めるべきではないか。
秋葉原の事件だけではない。その後も、生活に追いつめられた人々がせっぱ詰まって犯罪を引き起こしている。政策的な支えさえしっかりしていれば、死ななくてすんだ人、罪人にならなくてすんだ人が大勢出ているのである。そのことに対して心の痛みを感じないような人に、政治を動かす資格はない。若者に媚を売り、にやけている場合ではない。
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