このところ、麻生太郎首相の失言、迷言が相次いでいる。この人物は宰相の器ではないという雰囲気が、永田町に蔓延し始めているようだ。一連の失言は単なるミスやサービス過剰ではなく、政治家としての本質的な欠陥に根ざしているように思える。
私は少年漫画の創生期に子ども時代を過ごしたが、父親から「漫画ばかり読んでいてはろくな人間になれない」と時々説教をされた。親の説教というのは後になってみると有り難いものである。漫画ばかり読んでいたらどんな大人になるか、今の総理大臣を見ればよく分かる。
活字ばかりの本のおもしろさを子どもが理解するためには、最初は我慢が必要である。遊びたい欲求も抑えなければならない。読書は、知ることのために自分を律する訓練なのである。麻生氏の場合、自制心のないまま育った人間が権力を握り、唯我独尊の境地に入ったのだから、他人を見下したり、傷つけたりする言葉を次々と発するのも、むしろ当然である。
教養をひけらかす人間はうさんくさい。しかし、だからといって無教養は自慢にならない。これからの教育政策にとっては、いかにして麻生氏のような大人を作らないかという大きな目標ができた。敬意、人品、人徳、こういった言葉が日本の政治で死語になっては困るのである。
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