麻生首相は消費税率の引き上げにご執心である。批判ばかりの野党と違って、政府与党の指導者として政策決定において責任感を発揮したいという意図なのだろう。
私も、これからの社会保障の財源として、いずれ消費税率を上げざるを得ないだろうと思っている。しかし、それには手順というものが必要である。こんな正統性のない政権に、国民負担を増やすという決定をしてほしくないというのが国民の感覚であろう。定額給付金で赤字を増やす一方で、増税を国民に要求するのは矛盾している。
大体、3年後に誰が政権を担っているか、わからない。それは、選挙で国民が決めることである。その時どうしても増税が必要なら、みんなで議論して決めればよい。今から3年後の民意に枠をはめ、増税を既成事実にしようというのは、民主主義のルールに反する。
一連の増税論議の裏には、財務官僚の影がちらつく。財務官僚は民主主義を軽蔑し、自分たちが最も正しいと信じている人種である。政治の混乱の中で、放っておくと政治家が何をしでかすかわからないから、今から縛っておけというのが彼らの発想であろう。
一見、見識あふれる増税論も、実は官僚に操られていることを自ら告白するようなものである。税制論議は今決めるのではなく、今度の選挙の争点にすればよい。
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