今、いくつかの大学で日本政治について講義をするために、アメリカを旅行中である。こちらでは、オバマ政権の最初の課題である景気刺激策について論争がおこなわれていた。その中で、推進派も反対派も、日本を引き合いに出しているのが、興味深く、また情けなかった。
オバマ大統領は、日本の失われた十年は、中途半端な刺激策を小出しにしたからだとして、大型刺激策の正当性を主張した。これに反対する共和党は、日本でバブル崩壊後に行われた巨額の公共事業がほとんど効果を持たなかったと反論した。どちらにしても、日本は悪いお手本である。
日本の政策は基本的に官僚が作る。官僚は視野が狭いという宿命を持っている。景気対策を小出しにしたのは財務官僚の健全財政主義へのこだわりの故であり、無駄な道路やダムに金を注ぎ込んだのは旧建設官僚の縄張り主義の帰結であった。そもそも官僚にはそれ以上の知恵を期待できない。優先順位や規模を決定するのは政治家の役割であり、政治が無力だったからこそ、政策は的外れに終わった。
今こそ政治家が必要なのだが、自民党では小泉元首相までが麻生批判の戦列に加わり、まさに政治指導者不在の状況である。早く総選挙を行い、清新なリーダーを作り出す以外に、だめな日本から抜け出す方法はない。
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