麻生政権の支持率が下がっても、もはやニュースにはならず、国民から見放された首相が勘違いして、外国ではしゃぎ回るというのは、何とも情けない光景である。
麻生政権の命運は、中川前財務相を直ちに更迭できなかった時点で決まった。その中川問題について、一つ書き残したことがある。事情をよく知る新聞記者から、中川は父親の一郎と同じく、うつ病から来る飲酒癖があるという話を聞いた。この話を聞くと、今回の醜態も説明がつく。
そうであれば、中川事件は単なる一政治家の乱行というよりも、もっと深刻な政治問題である。なぜそのような人物を財務相という重要ポストに据えたのか。仮に、首相が盟友を起用することにこだわることが避けられないとすれば、財務省の事務方は、なぜ細心の注意を持って大臣の行動をコントロールできなかったのか。中川個人を糾弾することには興味はないが、財務省幹部の危機意識の欠如については、今後十分に検証する必要がある。
中身のない政治家が政治主導というスローガンを叫ぶことに嫌気がさして、官僚が政治家にすべて下駄を預けたとするなら、それこそ日本にとっては本当の危機である。霞ヶ関に向かって今さらこんなことを言うのは申し訳ないが、殿の乱心を諫めることも、官僚の重要な仕事である。
|