先週1週間、講演や調査のため、イギリスとドイツを回った。特におもしろかったのは、イギリスと日本の政治状況がよく似ていることである。イギリスの場合、与党の労働党は思想的には自民党とは反対で、長期政権と言っても12年である。しかし、進歩を売り物にする労働党も、十年以上権力の座にあれば、政権維持それ自体が目的となり、最近の経済危機に対しても大胆な政策を打ち出す能力を失ったようである。人心も離れ、1年以内に行われる総選挙では政権交代が必至と言われている。
この困難な時代に政権を担うというのは、本来大きな重圧となるはずである。それに耐えて、国のために何かをしたいという気概や責任感が伝わってくれば、国民もいたずらに政治家を責めるばかりはしないはずである。
政治家自身は、権力にしがみついているつもりはないのであろう。しかし、自分たちの間違いを反省せず、これから権力を使って何をしたいのか明確なビジョンを示せないという状態を延々と見せつけられれば、国民はいい加減にしろと言いたくなる。
私自身は、イギリス労働党の政策に大きな期待を寄せてきた。グローバル化の時代に平等と人間の尊厳を守るという課題に果敢に取り組んできたからである。しかし、絶対的権力は絶対に腐敗するという政治の法則から、労働党も自由ではない。
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