北朝鮮によるロケット発射は、日本では国内政治の材料として消費された感がある。外国の脅威を煽れば政府の求心力が強まるという期待が、政府の対応の根底にあったことは間違いない。政府高官はどうせ当たらないと本音を漏らしたそうだが、まじめにやれと言いたくなる。
それにしても不思議なことが幾つもある。迎撃システムの配備を大々的に宣伝していたが、それで大丈夫なのだろうか。北朝鮮が本気で戦争する気なら、ミサイルを撃つ前に迎撃システムを無力化することを図るはずである。わざわざこちらの手の内をさらけ出すというのは、今回の迎撃準備が、国防よりも、国民向けのプロパガンダであることを物語っている。そして、新聞もテレビも、すっかり政府の手のひらの上で踊らされた。その点で、本紙の半田編集委員の健筆は光っていた。
この際、ミサイル防衛システムなるものが、本当に必要なのか、役に立つのか、議論すべきである。軍需産業と軍隊やその取り巻きの政治家からなる軍産複合体は、常に外敵の存在を強調して、国民に不必要な武器を売り込もうとする。ある世論調査では、日本の防衛費を増やすべきだという意見が増えたとのこと。今回の北朝鮮のロケット発射は愚行だとは思うが、それで一番喜んでいる人々が誰かは察しがつくというものである。
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