先週1週間の自民党の内紛は、ただでさえ落ち目の自民党に対する国民の不信を決定的なものにした。

　麻生首相を引きずり降ろそうという運動には何の大義名分もない。迫りくる総選挙で、少しでも有利に戦える環境を作りたいという政治家の生存本能だけが、反麻生運動の源になっている。野党の提出した内閣不信任案には反対しておいて、その直後に倒閣運動を起こすなど、憲政の論理に反する政治家失格の所業である。倒閣したければ堂々と不信任案に賛成すればよい。不信任案に反対したなら、自らの票決に忠実に行動するのが政治家の義務である。

　中川秀直、武部勤など、小泉バブルに踊った政治家が延命を図るために反麻生に走るのは理解できる。こうした政治家に加藤紘一までが同調したのには、失望した。加藤には、自民党の問題を的確に批判し、野党となった後の自民党を再建する役割を期待していたのだが。

　身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれである。下らない内輪もめよりも、民主党と正面から政策論争をすることだけが、自民党が生き残る唯一の道である。もっとも、そのためには中川が言うように改革路線を続けるのか、与謝野などが言う安心社会の実現を打ち出すのか、まずは自民党が明確な政策構想を立てることが先である。