いよいよ鳩山政権が動き出した。理系出身の政治家が総理、副総理を務めるのは、日本政治史上初めてのことであろう。そこに大いに期待したい。理系の頭を持つ人は、物事をドライに割り切り、理詰めで考えるはずである。今の政治には理系の頭が必要である。
今までの自民党政治の中では、先入観に基づく感情的な議論が横行し、しばしば全く見当外れの政策が実行されてきた。子供の学力低下について十分な分析もなしに、やみくもに授業時間を増やしたり、教員免許更新制度や教員の成果主義を強化したりしたことなど、その典型例である。医学の世界では、病気の原因を突き止めて、それに対する効果的な治療法をとることをエビデンス・ベースト(根拠のある治療)のアプローチというが、こと社会の病理に対してはエビデンスが全くないまま、思い込みで対策が講じられてきた。
新政権では、鳩山、菅両氏の指揮の下、良い意味でドライな問題分析を徹底し、因果関係を明らかにしたうえで、原因に迫るという政策を展開してほしい。高速道路の無料化や揮発油税暫定税率廃止などの公約にしても、エビデンスに基づく国民的議論が必要である。政策そのものの是非よりも、政策を議論する仕方から変えていってほしい。
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