今回の代表選の最大の問題点は、戦いの大義名分、いったい何のために争うのか全く分からないことだ。単なる権力闘争にしか見えず、国民は、そのことにうんざりしている。
ちょうど1年前の昨年8月末、民主党は衆院選で大勝し、歴史的な政権交代を果たしながら、鳩山由紀夫政権は失敗し、退陣した。菅、小沢両氏とも政権の中枢にいたのだから、まずは自分たちの責任、そして政権運営で何が欠けていたかについて、率直に謙虚に説明しなければならならい。そのことが戦いの大前提だ。
特に小沢氏については、「出るな」と言うつもりはないが、鳩山政権を支えた与党の幹事長だったはずだ。なぜ政権がうまくいかなかったのか、きちんと総括して説明する責任がある。それがないと、結局は国民不在の永田町のパワーゲームでしかない。
ただ、小沢氏が政権交代の原点である「国民の生活が第一」というスローガンを再び掲げることは評価したい。菅首相が参院選で言及した消費税率引き上げの是非や、昨年の衆院選のマニフェストを修正するか否かといった政策課題について、しっかり意見を戦わせることは意味がある。この際、真っ正面からの政策論争を期待したい。
万一、代表選後に民主党が分裂して、政界再編に突入するようなことになれば、長い時間をかけてようやく実現した政権交代は、再び振り出しに戻ってしまう。それは民主党に期待して一票を投じた国民を大きく裏切ることになり、民主主義にも反するものだ。政治家の勝手で、離合集散ばかり繰り返すような愚かなことだけは避けねばならない。
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