地方債の発行条件に格差がついてきたことは当然の流れだ。グローバルな金融改革が進むなかですべての地方債を同一に扱うことは無理になっている。地方交付税制度の信頼も揺らぎ始めている。地方が財政改革を進められるかという問題と同時に、国の制度も市場から問われている。
財務内容を積極的に公開する自治体が増えてきたが、市場が本当に求めている情報を欠いている。貸借対照表や行政コスト計算書をみても、従来の会計情報を組み替えただけのものが目立つ。必要なのは「過去のコスト」ではなく「将来のコスト」だ。
例えば、十年後の予算規模や起債予定額はどうなるのか。今後、どのような政策を打ち出し、そのコストはどうなのか。公共サービスとして行政が担う範囲をどう考え、官民でどのように役割分担するのか。現在でも自治体は様々な長期計画を策定しているが、コストとの関連が不明確だ。
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