J. 福祉雇用ガバナンス |
家族と雇用の揺らぎが拡がり、人々は、新しい社会的リスクに直面している。これまで何らかのかたちで安定した家族や雇用に依拠してきた福祉国家体制は、グローバルな市場競争の拡大もあって、こうした新しい社会的リスクに対応することが困難になっている。こうしたなかで、福祉国家体制を継承する福祉雇用ガバナンスをいかに構築するか、とくに政府、市場、市民社会の連携を、ローカル、ナショナル、トランスナショナルな諸次元でいかに展開するかを検討する。 |
K. 環境ガバナンス |
地球環境問題はグローバル時代におけるガヴァナンスを考える上で不可欠な課題である。問題解決のために整備されてきた国際枠組みの実効性を検証するとともに、そうした枠組みの形成に貢献した各国政府の意思決定構造及びNGOの役割を分析し、より建設的な枠組み形成には何が必要であるかを検討する。
また、地域における環境問題への取り組みについても、ガヴァナンスの変容という観点から検討する。グローバルな環境問題の解決のための地域における取り組みに着目するとともに、地域の環境問題への取り組みにもグローバルな課題が影響を与えていることを実証的に明らかにする。 |
L. グローバル・ガバナンス |
国を超えた世界や地域の問題をどのようにマネージするのか考える学際的・国際的な研究を行う部門として、以下の3つの課題に取り組む。
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ヒト・モノ・カネ・情報・疫病などの国境横断的な移動に伴う現象を実証的に分析する。 |
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A |
そのガバナンス(統治)のあり方を考察し、地球的・地域的な問題を、国際組織やレジーム、帝国、国家、地方、あるいは私的な団体やネットワークなどの対応アクター・レベルに分けて、政策イッシュウーごとに検証する。 |
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B |
これらの現象が人文社会科学に対してどのような意義・含意を持っているのか検討する。とりわけ、主権国家を中心とした概念枠組みの射程を再考する。 |
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なお、このグローバル・ガバナンス班の研究は、日本学術振興会の人文社会科学の振興プロジェクト「グローバル・ガバナンスにおける知の再編」(代表者:遠藤 乾)とも協力して行なわれる。 |
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M. ローカル・ガバナンス |
現代日本の道州制議論や西欧諸国のリージョナリズムの動向、東アジア諸国の地方自治制度の変容を、実証的かつ比較研究の観点から検証し、政府間関係の変容を考察する。また、NPOや市民運動の発展など、市民社会の変化が政府活動にどのような影響を与えているかを、デモクラシーの観点から、また、地方政府のガバナンス変容という観点から検討する。 |
N. ガバナンス理論 |
グローバリゼーションにともなって引き起こされた政治や行政の変化について、政府と社会の関係、市民社会の自己統治能力の拡大という観点から総括的に捉える。経済、地域社会、福祉など様々な政策分野に共通する新しいガバナンスのあり方について、モデルの構築を目指す。 |