招聘の際に要請されたのは、私人によって公益が実現される様相を、独禁法分野で議論することだった。しかし、「『独禁法は(公取委による法運用を含めて)個々の主体の私的な利益を保護するための法である』という極端な立場」に立って報告を行ったため、結果として招聘者の方向性と正反対の議論をしているという印象を抱かれたかもしれない。しかし、私自身は、私人による公益の実現について異論はなく、それだとほとんど報告材料がないのではないかと思い、独禁法が公益とか競争秩序にのみ連結されることに対する違和感を表明した。なお、上記報告要旨については、「」で内容を修正している。
「供給の代替性を考慮したシェアは44%、44%、30% 37%、37%、25% となり、」
「5社寡占のときには利潤が減少する合併前のシェア格差が8倍以上ならば利潤が増加する。」
Appendixはこちら。
英語論文になったため、総論班とのつながりを書けていませんが、田村善之論文の基本的発想(知的財産権を2通りの法概念で捉えられるならば、政策過程におけるゆがみを緩和する方のメタファーを採用すべき(108-109)も、対話を促進するという観点から正当化されており、問題意識を共有するものです。また、藤谷武史論文は、プレイヤー・法域・時間において多元分散化した法実践に対応するためには、法的概念が政策闘争の場として機能できるように洗練される必要があることも説いており、対話との接続が可能です。