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企画者:池 直美(北海道大学大学院法学研究科 博士課程3年)

”State-Civil Society Interactions from Governance Perspective: The Case of Thailand”
(邦題「ガバナンスの視点から見る国家と市民社会のインターアクション:タイを事例に」)

発表者:藤岡 理香(Ph.D Candidate, SOAS, University of London)
コメンテーター:山崎 幹根(北海道大学大学院法学研究科助教授)
司会:池 直美(北海道大学大学院法学研究科 博士課程3年)
日程:2006年3月17日(金)4時半から7時
場所:北海道大学 人文社会棟(文系新棟・W棟)3F W301号室
※報告・質疑は日本語で行います

研究会報告

< 研究の目的及び研究会の意義 >

 本研究では、タイ政府が「良きガバナンス」という共通のアジェンダに取り組むために、国家と市民社会の相互補完的なパートナーシップを構築しようとしている試みについて分析している。ガバナンスという概念自体曖昧なものであり、明確な定義があるわけではない。また、学問的にも研究がまだ少ない分野でもある。しかし、ガバナンス概念の有する価値は、その概念の多様な解釈可能性にあるといえよう。しかしながら、一方では、こういったガバナンスの概念は、国家の発展を志向している段階において、詭弁(fallacy)ではないかという批判もある。この研究は、政治制度的、また社会済的に異なった国々が、普遍的な「良きガバナンス」モデルを採用する際に、その理念を体現する政策と実践において矛盾が生じることを実証するものである。この研究は、タイの中央政府(バンコク)レベルとチェンマイ地方の行政レベルでにおけるフィールド・ワークを基礎としながら分析を行っている。事例研究は、「One Tambon One Product (OTOP)」という村を基礎とする行政単位を中心に行われている。この行政単位は、主に企業を発展させることによって、人々の生活を向上させることを目的としている。
 この研究は、二つの点において意義がある。一つは、実証研究に基づきながら、ガバナンス概念の実践可能性を模索している。二つ目には、理論と実践の相互作用を強化する重要性を再確認していることである。