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企画者:池 直美(北海道大学大学院法学研究科 博士課程3年)

”The Imjin War
(Bunroku-Keichou no eki/ Renchen Weiguo Zhanzheng)
as East Asian‘lieu de memoire’after 1945”

(邦題「1945年後東アジアにおける「記憶の場」としての文禄・慶長の役(壬辰倭乱、壬辰衛国戦争)」)

発表者:Hinrich Homann (Ph.D. Candidate, Trier University, Germany)
コメンテーター: Dr. Yonson Ahn (East Asia Studies Institute, University of Leipzig)

司会:池 直美(北海道大学大学院法学研究科 博士課程3年)
日程:2006年3月20日(月)3時から6時まで
場所:北海道大学 人文社会棟(文系新棟・W棟)3F W301号室
※報告は英語ですが、質疑応答は日本語で行われます


< 研究の目的及び研究会の意義 >

 本研究の目的は、文禄・慶長の役に関する「歴史的な事実」の追及ではなく、また、その悲劇に関する特別な分析に加担するものでもない。むしろ、この研究は、異なった歴史的イメージや、また、戦後東アジアにおける「記憶」の変化の脱構築化を図るものである(例えば、韓国であれば朴大統領による李舜臣提督の承認や、中国であれば「壬辰衛国戦争」を中国外交の道徳的特性のシンボルとして掲げることなど)。この研究は、主に各国の歴史教科書、博物館の展示(韓国の慶尚南道晋州にある壬辰倭乱や九州にある日本名護屋城博物館)、そして大河ドラマや歴史物の映画などの比較を中心に分析を行っている。
 この研究が意図するのは、こういった歴史的かつ感情的な問題に関して、東アジアの視点から分析し脱構築することによって、日本、韓国、そして中国の歴史認識についてより建設的な議論に貢献するであろうと期待できる。
 歴史認識や歴史教科書の問題は、東アジアの文脈においては、避けては通れない問題である。各国は、自らの遺恨や視点を超えた地平に到達しなければならないであろう。この研究は、その可能性を示すものであり、また、学問的にも政治学、社会学、歴史学の領域を交差した広がりを持つものあると確信している。
 今回のワークショップにコメンテーターとしてライプジッヒ大学東アジア研究所から安先生をお招きして、韓国の歴史家としてこの問題に示唆していただく。安先生は、「植民地時代の歴史の語られ方−韓国におけるモダニティと植民地主義」というテーマで研究をされており、従軍慰安婦問題や日本の修正主義なども研究対象とされている。