研究計画の基本方針

 研究目的において焦点とされた4つの問題次元においては、以下のような探究を目的として研究を段階的に進めてゆく。すなわち、(i)価値的次元においては、以下の諸次元での研究ともフィードバックしながら、特に同質的な法的価値や異質な法的価値の間に生ずる遭遇/浸透/変成のあり方について、法主体性に裏打ちされた構成的解釈の論理を軸としながら理論的に分析検討し(長谷川が主に分担);(ii)行為的次元においては、他の諸次元での研究ともフィードバックを試みながら、特に同質的価値観あるいは異質な価値観を有する個人や集団の間の法的コミュニケーションにおける規範意識や行動様式の遭遇/浸透/変成のあり方について、法主体性を軸としながら分析検討を行い(松村が主に分担);(iii)思想=制度的次元においては、東アジア、西ヨーロッパ、北アメリカ、日本の4地域を素材として取り上げ、各地域の歴史的画期のもとで多様な法的価値や社会的コミュニケーションが様々な法主体による営為のもとに遭遇/浸透/変成して法思想=制度の確立・発展・変容につながる事態を、上記の諸次元とも関連させながら、思想史的・歴史的に実証検討して(東アジアについては今井・鈴木が主に分担、西ヨーロッパについては田口・中村が主に分担、北アメリカについては会澤・尾崎が主に分担、日本については林田・桑原が主に分担);(iv)統合的次元においては、以上の各次元の総体が多次元重層的な法のベクトル場において示され、そこでは人々の法主体性を介した創造的統合力が働いていると考えられるゆえに、上記の各研究相互の通観点的な討議によって関連するアーカイブやウェッブ・オープンソースを整備して、各研究を有機的に統合しうる<法のクレオール>と主体的法形成の全体プロセスのモデルを樹立する。

 これらの研究の過程では、特に思想=制度的次元において、異なる文化や法制度の中で生きる人間の視点による多方向的な分析を志向し、研究の複眼性を確保して思想=制度のリアリティに迫るために、海外研究アドバイザーを求め不断の意見交換に努める。研究の進行に応じてアドバイスを求めながら、さらにそれを起点として海外の他の研究者との交流を拡大促進してゆく。

 また、以上の研究は、平成17年度から19年度までの3段階のステージとさらに平成20年度から21年度の2段階のステージとの合計5段階のステージに区分して遂行してゆく。先の3段階において研究の中間的取りまとめまで進め、後の2段階ではその中間的成果の展開と彫琢に努めて研究を完遂する。

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