国内外の研究との関連性

 一般に法文化と法制度との関係や法の継受の問題については、法史学、比較法学、法人類学などの研究の蓄積はあるものの、一定の限界が見られる。法史学は史料による限定的実証を免れず、比較法学は基本的に類型論的で静態的な比較にとどまり、また法人類学は未開法と近・現代法との対照が中心である。これらの研究は確かに重要であるが、背後に隠れている法文化と法制度の間のより細密で動態的な相互作用関係如何という根本的な問題に関してはなお立ち入った考察が必要である。特にクレオールは近年の文化人類学において様々な生活様式や言語の重層的溶融の現象として注目を集めているが、この見方は秩序の創造的産出にも資すると予想され、本研究はこれをより法学的に展開して上記根本問題に新たな解明の光を当てようとする。このような問題関心は現今国内外で現れつつはあるが、依然マニフェスト的にとどまる。それに対して、本研究は、<法のクレオール>とそれに連なる主体的法形成を多次元的に探究する点で全く新たな意義を有している。またそれと同時に、本研究は<法クレオール論>という新たな議論領域を開拓し、基礎法学の新たな協同の様式を打ち立てようとするものでもある。

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