統一地方選後の市町村にとって大きな課題は、合併問題である。選挙期間中、合併問題は多くの市町村で政策議論から影を潜めざるを得なかった。触れづらい問題であることは、合併議論が地域の存亡をかけた重大かつ喫緊の課題であると同時に、合併してもしなくても住民に新たな負担と責任を実質的に求める選択となることを意味する。そこでは、「真の自治、固有の自治」が問われることになる。
合併問題を巡っては、強制合併、小規模自治体、2005年3月の特例期限のあり方が当面の焦点となる。国は法律的な強制ではなく財政的に厳しい環境を通じて「選択肢なき自主的判断」を迫る。特に、今年7月の地方交付税額決定後は、さらなる交付税額の減少を背景に財政運営面から正念場を迎える。第2の小規模自治体の要件は依然不透明なままである。地方制度調査会の5月の中間報告かあるいは秋の最終報告か時期的違いはあるものの、人口等数値的要件が提示されれば周辺市町村も含め大きな決断が迫られる。第3の2005年3月の財政特例期限を国が大きく延長する可能性は極めて低い。しかし、重要なことは期限の根底にある考え方である。強制であれば合併後の財政を支援するものの、期限後は市町村の自主性に委ねる以上国の財政的支援は必要ないとする考えである。
国の強制合併の姿勢に対し、地方自治に問われることは何か。それは、住民を含めた地域が合併問題を通じていかに一体となって地域の議論を展開できるかであり、従来の与えられる地方自治からの脱皮を意味する。財源や権限の移譲は重要である。しかし、そこにとどまったとすれば、最終的に国の意思決定に左右される、与えられる自治に過ぎない。意思決定の分権を求めることが真の自治の姿である。
統一地方選で影を潜めた論点が、これから真の自治を行政と議会、住民に問いかける段階を迎える。
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