Globalization & Governance
Globalization & Governance to English Version Toppage
トップページ
HP開設の言葉
学術創成研究の概要
研究組織班編成
メンバープロフィール
シンポジウム・研究会情報
プロジェクトニュース
ライブラリ
研究成果・刊行物
公開資料
著作物
Proceedings
Working Papers
関連論考
アクセス
リンク
ヨーロッパ統合史
史料総覧

「大都市圏と地方における政治意識」世論調査報告

企業と政治に関するアンケート
調査結果の概要

 
●調査目的

 この調査は、文部科学省の科学研究費(学術創成研究)による「グローバリゼーション時代におけるガバナンスの変容に関する比較研究」の一環として、地域社会の中で大きな影響力を持つ企業経営者の意識の動向を探り、日本の草の根レベルの政治の動きについて分析するための基礎データを得ることを目的に実施した。

●調査内容

 この調査では、「企業と政治の関わり」をテーマに、@道内の企業経営者が政治の現状をどのように見ているか、A政治家や政党とのつきあい方についてどのような考えを持っているか、B企業にとって望ましい制度とはどのようなものか---という視点から、以下の調査項目に関してアンケートを行った。

・小泉首相の構造改革に対する評価と期待する内容
・企業献金や選挙応援など企業と政治の関係のあり方についての意識
・小選挙区制度の導入による企業と政治の関係の変化
・鈴木宗男衆議院議員に対する評価と望ましい政治家像
・企業経営者の立場から見た地方分権や公共事業への期待度

●調査の設計及び方法

@調査対象者 北海道内の都市部に本社がある従業員数5人以上の企業の経営者
A対象企業数 上記の条件に合致する3500社
B抽出方法 最新の事業所・企業統計調査の結果等を参考に地域別、業種別、従業員数別の標本数を設定し、道内企業を最も幅広く網羅した民間信用調査会社のデータベースから条件に合致する企業を無作為に抽出した。
※但し、標本数の設定に際しては、対象企業が札幌市に偏りすぎたり、中小・零細企業のウェイトが大きくなりすぎたりしないよう配慮した。
C調査方法 郵送法 ※ハガキによる督促を1回実施
D調査期間 平成14年7月4日(木)〜7月30日(火)
E調査主体 北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター
F調査機関 (株)北海道新聞情報研究所 調査研究部

●調査結果の概要

問1 小泉首相の構造改革に対する評価

 

 「大いに評価する」と「ある程度評価する」を合わせると、6割以上の経営者が小泉首相の構造改革を肯定的に捉えています。一方、「あまり評価できない」「まったく評価できない」と答えた経営者は、合計で3割程度でした。

 

問1-@構造改革を評価する理由

 構造改革を『評価する』理由では、「あらゆる面で変革が必要な時代だから」が80.5%、「行政機構や官僚の権限が大きすぎるから」が69.6%と、ひときわ多くなっています。

 

問1-A構造改革を評価できない理由

 一方、『評価できない』理由としては「実現性に疑問があるから」が67.2%で最も多く、これに「実効性が期待できないから」と「公共事業などが減って地域経済が痛手を受けるから」が続いています。

 

問2 構造改革の中で最も優先すべき課題

 

 道内企業の経営者が構造改革の最優先課題と考えているのは「行政改革」で、全体の約3割を占めています。次いで「経済構造改革」と「政治改革」が2割程度できっ抗し、以下「財政改革」14.4%、「社会保障改革」3.3%の順でした。

 

 

問3-@企業が政治献金を行うことについて

 

 企業が政治献金を行うことについては、「政治資金規正法の範囲内であっても節度を持って行うべき」が過半数を占め、次いで「問題であり頼まれても行うべきではない」が3割半ばに上っています。一方、「政治資金規正法の範囲内であれば積極的に行っても全く問題はない」と答えた経営者は約5%でした。

 

 

問3-A企業が選挙応援を行うことについて

 

 選挙応援については、「公職選挙法の範囲内であっても節度を持って行うべき」が6割近くを占め、これに「問題であり頼まれても行うべきではない」が3割で続いています。一方、「公職選挙法の範囲内であれば積極的に行っても全く問題はない」と答えた経営者は約8%で、政治献金の場合よりも若干多くなっています。

 

 

問3-B企業が選挙応援に社員を動員することについて

 

 選挙応援への社員の動員については、「社員一人ひとりに思想信条があるのだから動員はすべきでない」が過半数を占め、次いで「社員の賛成があれば良いが嫌がる社員に無理強いするのは良くない」が3割半ばとなっています。一方、「自社の社員であれば特に問題はない」と答えた経営者は約4%でした。

 

 

問3-C政治家・政党が支援者(企業)のために活動することについて

 

 政治献金や選挙応援を受けた政治家・政党が支援者(企業)のために活動することについては、「誤解を招かないよう配慮しつつ最低限の活動はしてほしい」が47.0%で最も多い半面、「問題であり頼まれても行うべきではない」という意見も42.5%を占めています。一方、「当然であり積極的に活動してもらいたい」という経営者は3%程度でした。

 

 

問4 企業が政治献金や選挙応援を行う理由

 企業が政治献金や選挙応援を行う理由については、「企業の発展・成長や存続のため」と答えた経営者が半数以上に上り、次いで「地域の発展のため」という意見が4割程度と多くなっています。


 

問5 小選挙区制度の導入による政治家や政党とのつきあい方の変化

 

 小選挙区制度の導入により、政治家や政党とのつきあい方が『変わった』企業は約16%にとどまり、『変わらない』という企業が3分の2近くを占めています。
 なお、『変わった』と答えた企業では、つきあいが「浅くなった」というケースが6割強を占め、「深くなった」というケースは3割弱でした。

 

 

問6-@政治家や政党に対する企業の政治献金について

 

 小選挙区制度の導入以降、政治家や政党に対する企業の政治献金が「少なくなったと思う」経営者は16.9%、「多くなったと思う」経営者は8.1%で、「特に変わらない」が過半数を占めています。

 

 

問6-A政治家や政党の地元企業に対する応援要請について

 

 政治家や政党からの応援要請については、以前より「熱心になった気がする」が15.3%、「淡白になった気がする」が16.1%で、ここでも「特に変わらない」が過半数を占めています。

 

 

問6-B政治家や政党と企業との関係について

 

 政治家や政党と企業との関係についても「特に変わらない」が過半数を占め、「一層密接になった気がする」経営者は12.4%、「やや疎遠になった気がする」経営者は15.6%でした。

 

 

問6-C政治家や政党と地元地域との結び付きについて

 

 政治家や政党と地元地域との結び付きについても、企業との関係の場合と殆ど同じ回答結果を示しています。

 

 

問7 鈴木宗男衆議院議員に対する評価

 

 鈴木宗男衆議院議員を「大いに評価する」という経営者は2.2%、「ある程度評価する」という経営者は18.7%で、両者を合わせても『評価する』との回答は2割程度にとどまっています。一方、「あまり評価できない」は23.0%、「まったく評価できない」は46.2%で、『評価できない』とする経営者が全体の約7割を占めています。

 

 

問7-@鈴木議員を評価する理由

 鈴木議員を『評価する』理由としては、「地元地域(北海道)や業界の利益のために尽くしてくれた政治家だから」が8割以上と圧倒的に多く、2位は「道内選出の有力議員だから」の33%でした。

 

問7-A鈴木議員を評価できない理由

 『評価できない』理由では、「日本の政治の不透明性や悪弊を象徴する政治家だから」が6割を超えてトップ。次いで「私利私欲を優先し地域の健全な発展を阻害した」が約53%と多くなっています。


 

問8-@国会議員が地元地域の利益を最優先に考えて政治活動を行うことについて

 

 国会議員が地元地域の利益を最優先して政治活動を行うことに対しては、「当然だとは思わないが選挙との関係でやむを得ない面もある」という評価が3割半ばで最も多く、次いで「国民全体の代表なので地元の利益を最優先するのはおかしい」が3割を占めました。一方、「地元の代表として選ばれたのだから当然だ」という意見も2割近く見られ、「やむを得ない」と合わせると『容認派』が半数を超える結果となりました。

 

 

問8-A政治家の人物像(クリーンさ)と政治力の関係について

 

 政治家の人物像と政治力との関係については、「多少ダーティであっても政治力のある政治家の方が望ましい」が27.6%、「政治力は多少乏しくても清廉潔白(クリーン)な政治家の方が望ましい」が27.5%、「どちらとも言えない」が29.5%と、意見は完全に分かれました。また、「その他」の意見も1割程度ありましたが、その多くは「両方とも必要」ないし「両方のバランスが大切」という内容でした。

 

 

問9-@望ましい政治の枠組みについて

 

 企業経営者の立場からみた望ましい政治の枠組みとしては、「2大政党(または2大勢力)による政権交代を可能にする枠組み」が約7割を占め、圧倒的に多くなっています。一方、「複数与党による連立政権を可能にする枠組み」は約17%、「単独与党による政権を可能にする枠組み」は5%でした。

 

 

問9-A望ましい国政選挙(衆院選)の制度について

 

 望ましい国政選挙制度については、「概ね現在のままで良いが、当選後に議員が所属政党を鞍替えしたり小選挙区で落選した議員が比例区で復活当選したりすることを認めないなどの改善は必要」が過半数を占め、次いで「中選挙区制に戻すのが望ましい」と「小選挙区制だけにするのが望ましい」が15%程度と比較的多くなっています。

 

 

問10 望ましい政治資金(政治献金)のあり方について

 

 望ましい政治資金(献金)のあり方については、「政治資金は全て税金で賄い献金は認めるべきではない」が44.1%で最も多く、以下「企業献金は禁止して個人献金中心の制度に改めるべき」が24.3%、「企業献金と個人献金のバランスのとれた制度に改めるべき」が20.8%と続き、「従来のような企業献金を中心とした制度を継続すべき」は1.6%にとどまりました。

 

 

問11 地方分権に対する期待度

 

 「ある程度期待する」と「大いに期待する」を合わせると、地方分権に『期待する』経営者が全体の7割を占めています。一方、「あまり期待しない」と「まったく期待しない」を合わせた『期待しない』経営者は2割強でした。

 

 

問11-@地方分権に期待する理由

 地方分権に『期待する』理由としては、「地方の課題や問題は本来地方が中心となって解決すべきだから」が63.6%で最も多く、これに「地方分権により地域の実情にあった政策展開が可能になるから」が59.8%、「中央の政治・行政に頼っていては地方がいつまでも自立できないから」が45.2%で続いています。

 

問11-A地方分権に期待しない理由

 地方分権に『期待しない』理由では、「掛け声ばかりでいつまで待っても実現するとは思えないから」が44.0%で最も多く、以下「地方には自らの課題や問題を解決できるお金がないから」が39.6%、「地方には自らの課題や問題を解決できる能力(人材など)がないから」が30.5%、「たとえ実現しても地元企業のビジネスチャンス拡大はあまり期待できないから」が20.1%、「地方よりも中央の政治や行財政の改革を優先すべきだから」が18.1%の順となっています。

 

問12 拓銀破綻の影響について

 

 「特に悪影響は受けなかった」が47.6%と半数近くを占め、以下「残っていない」が25.7%、「かなり残っている」が10.2%、「僅かに残っている」が9.8%、「その他」が2.2%の順となっています。拓銀破たんの影響を受けた企業は、「かなり残っている」「僅かに残っている」「残っていない」を合わせた45.7%で、このうち現在も『悪影響が残っている』企業は、「かなり残っている」と「僅かに残っている」を合わせた20.0%でした。

 

 

問13 国(政府)の公共事業等への期待度

 

 「ある程度期待する」が34.3%で最も多く、以下「あまり期待しない」28.3%、「大いに期待する」19.7%、「期待しない」13.3%、「どちらとも言えない」2.4%の順でした。「大いに期待する」と「ある程度期待する」を合わせると『期待する』という企業が過半数を占める半面、「あまり期待しない」と「期待しない」を合わせた『期待しない』企業も4割に達しています。