●要約
2003年5月9日に、コロラド大学のスヴェン・シュタイン教授をお招きして、政治研究会が実施されました。テーマは、グローバリゼーション下での福祉国家のあり方についてで、具体的には、スウェーデンの福祉国家政策の動向を、実証的に分析するものでした。一般的な予測では、国際的な資本の流れの増加や、様々な経済アクターの登場によって、それぞれの主権国家は、規制緩和や関税引き下げを実施し、それに伴い、福祉国家というシステムも縮小してゆくだろうと見られていました。しかしながら、スウェーデンでは、慢性的な不況から脱却すべく、かつての「スウェーデン・モデル」に逆行することはせず、またグローバリストたちが予測するような、規制緩和や関税の引き下げという単純な政策に陥ることはありませんでした。かれらは、社会福祉予算を部分的に削減しながら、財政の合理化を同時に進めました。そのため、スウェーデン経済は効率化され、社会福祉が経済回復を妨げることはなかったのです。これらの政治的選考は、グローバリストたちの予測とは全く異なる結果です。シュタイン教授は、スウェーデンの事例が、決して例外ではなく、今後のグローバリゼーション下での世界における、新たな政治形態となることを示唆して下さいました。(花田記)
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