Research Interests/Projects
北大の法学部で国際政治、公共政策大学院でグローバル・ガバナンス論、国際政治経済政策事例研究などを担当しております遠藤乾です。
もともとは国際統合が進行する西ヨーロッパを研究対象としながら、国家やナショナリズムの持つ魔力・拘束力・魅力について考えてきました。EU委員長の政治的リーダーシップについて英文著作をまとめたのを契機に、ヨーロッパ統合の現状に関する実証的な研究には一区切りつけました。 けれども、EUについては、興味が尽きません。いまは、歴史を遡って、前史から21世紀までのヨーロッパ統合史の研究を、仲間と一緒に楽しんでいます。これと関連して、東アジア共同体を含めた地域主義、とくに安全保障と地域主義の関連に関心があり、比較の視点を大事にしています。
また、グローバリゼーションとそのガバナンスに関する研究にも従事してきました。ひとつには、その現状に関して。たとえば、世界標準、感染症、海外送金、グローバル・ハウスホールディング、国際刑事裁判などについてシンポジウムや研究会を開き、検討を重ねていました。もうひとつは、グローバル化のもとにおける国際政治思想のあり方、とくに国家主権論とそれへの対抗思潮 (補完性原理や市民権などの問題)の考察に力点をおいてきました。主権に関しては、もっと勉強したいと思っています。関連して、帝国についても、書いたりしています。
今後の予定については未定ですが、上記の延長とともに、勉強会で政治におけるパッションとか宗教について考えたり、学会で「保守とはなにか」というセッションを組織したり、ラジオで国際問題を中心に解説したりしながら、すこしずつ芸風の幅を広げてゆきたいと思っています。また、現在3年の任期で、世界政治学会IPSAのRC-3 (European Unification)のPresidentを務めており、チリのサンティアゴにおける2009年IPSA世界大会に向け、まずは準備ワークショップを計画しています。