講義・演習(2012年度)

事例研究(海洋問題演習Vb)

1.事例研究(海洋問題演習Vb)(冬学期:月5)(東京大学公共政策大学院ほか)

※ 上田大輔先生・西本健太郎先生と共同

●授業の目標・概要
学問分野横断的な思考の獲得および政策立案・問題解決能力を涵養する応用型の教育科目であり、海洋に関わるさまざまな政策課題への総合的なアプローチを具体的課題に即して学ぶことが目的である。
海洋問題演習Ⅴbは、同Ⅴaとあわせて合計4単位として開講するものであり、東京大学「海洋学際教育プログラム」の修了証を取得するための必修科目である。ただし公共政策の学生は、Ⅴa、Ⅴbとそれぞれ履修することも可能である。
ⅤbではⅤaにおける各専門分野及び実務関係者による様々な角度からの議論を踏まえ、さらに異なる専門研究を目指す受講者を取り込んだグループを編成し、複数の教員の指導の下で、特定の政策的トピックスについてケーススタディの形で共同研究を実施し、問題解決に必要な知見を駆使して、受講者自らが政策を企画することを目指す。

●授業の方法
学内の多様な研究科の大学院生からグループを編成し、複数の教員の指導の下で、特定の政策的トピックスについてケーススタディの形で共同研究を実施、発表を行う。

●成績評価方法
平常点およびレポートによる

●教科書
未定

●村上担当のセッション「場の利用」の内容:海洋・沿岸域の「総合的管理」の理念と実態
『海洋基本計画』には、「海洋の総合的管理」という方針が掲げられている。その施策の1つに「沿岸域」の「総合的管理」が挙げられている背景には、①「沿岸域」が多様な機能を有し、様々な利用が輻輳し得る区域であるという現実と、②その管理が、様々な目的で制定された個別ルールに基づく「縦割り行政」(の集まり)によってなされてきたという経緯、そして、③かつての制度・運用では対応し難い政策課題の出現、があったものと考えられる。
本セッションでは、まず、海洋等の「総合的管理」という理念が掲げられるに至った背景、及び、その制度・仕組みを概観する。その上で、国内外の様々な「総合的管理」の事例(港湾の管理・運営、海面の利用、環境の保全、まちづくり、災害への対応等)をピックアップして研究する。その際、制度設計について提言を行うことを最終目標としつつ、特に、一連の政策過程における国・地方公共団体・民間の諸組織の役割分担のあり方に注目したい。